「ビヨンド・サイレンス」「点子ちゃんとアントン」のカロリーヌ・
リンク監督が、シュテファニー・ツヴァイクの自伝的小説を映
画化した家族の愛の物語。 ナチスの迫害を逃れアフリカに
移住したユダヤ人一家が、全く異なる文化の中で一度は崩
れかけた家族の絆を再び取り戻していくまでを真摯に見つ
めた感動作。 2002年度のアカデミー最優秀外国語映画賞
を受賞。
1938年4月、 少女レギーナと母イエッテルはナチスの迫害
を逃れるため 故郷のドイツを後にし、先にケニアに渡ってい
た父ヴァルターのいるロンガイの農場へとやってきた。 ドイ
ツでは弁護士をしていたヴァルターもここでは農場で働く一
介の労働者。予想を超える過酷な生活に お嬢様育ちのイ
エッテルは耐えられず弱音を吐いてばかり。 そんな母を尻
目に、 レギーナは料理人のオウアやケニアの子どもたちと
すぐに仲良くなり、アフリカの大地でたくましく成長していく。
今週月曜日(日本時間)にアカデミー賞の授賞式が行われ
ましたが、最近気になっているのがアカデミー外国語映画
賞受賞作品2008年度「おくりびと」受賞以来、チャンスが
あれば観るようにしていますが名作、秀作が多いですね
下記の表にあるように、 直近のもの以外はほとんど観てい
たのですが、この2002年度「名もなきアフリカの地で」のみ
未見でしたが、ようやく観ることが出来ました
特に外国語映画賞は、戦争を題材にしたものが多く、こ
の作品も第二次世界大戦のナチスドイツと、ユダヤ人の
問題がテーマです。 夫は弁護士、 妻は上流階級、 娘は聡
明、絵に描いたような幸せな家族が、ナチスのユダヤ人迫
害によって、 アフリカに逃げざるを得なくなります。 アフリカ
に馴染み、宗主国イギリスの軍隊に入る夫、取り残され
た妻は迷走し、娘は全寮制の学校に入れられる。
それぞれが悩みを抱え、幸せを模索する。やはり戦争は悲
惨だな…と、観ているこちらも気持ちが荒んでいきますが、
希望あるラストシーンには救われます。 機会があれば、 是
非観ていただきたい作品の一つです
「名もなきアフリカの地で」(2001年)
監督 カロリーヌ・リンク
製作 ベルント・アイヒンガー、ペーター・ヘルマン、ミヒャエル・ウェバー
原作 シュテファニー・ツヴァイク
脚本 カロリーヌ・リンク
音楽 ニキ・ライザー
出演 ユリアーネ・ケーラー (イエッテル・レドリッヒ)
メラーブ・ニニッゼ (ヴァルター・レドリッヒ)
レア・クルカ (レギーナ・レドリッヒ:幼年)
カロリーネ・エケルツ (レギーナ・レドリッヒ:10代)
シデーデ・オンユーロ (オウア)
マティアス・ハビッヒ (ジュスキント)
アカデミー外国語映画賞受賞作品の歴史(近年)
★1999年(72回)『オール・アバウト・マイ・マザー』 スペイン☆2000年(73回)『グリーン・デスティニー』 台湾
★2001年(74回)『ノー・マンズ・ランド』 ボスニア・ヘルツェゴビナ
★2002年(75回)『名もなきアフリカの地で』 ドイツ
★2003年(76回)『みなさん、さようなら』 カナダ
★2004年(77回)『海を飛ぶ夢』 スペイン
★2005年(78回)『ツォツィ』 南アフリカ共和国
★2006年(79回)『善き人のためのソナタ』 ドイツ
★2007年(80回)『ヒトラーの贋札』 オーストリア
★2008年(81回)『おくりびと』 日本/滝田洋二郎
2009年(82回)『瞳の奥の秘密』 アルゼンチン
2010年(83回)『未来を生きる君たちへ』 デンマーク
2011年(84回)『別離』 イラン
☆は鑑賞済み、★はブログアップ済み、無印は未見。