実家、と言うべきなのか分かりませんが、母が故郷で新しく建てた家に行きました。

ま、帰省ってことですね。

3年前の7月。
私の父は食道がんで亡くなりました。
命日になったその日の前々日には私も通院&診察に付き添っていて、主にQOLの維持に重きを置いたお話をしたと思います。

その内のひとつが、狭窄部を広げる処置をするかどうか、というお話。

術後にぎゅーっと狭まってしまった部分に管を通し、それを膨らませて拡張を図ります。
食道ブジーって言ったかな。

父の場合は通常食道に使う物はもう入らないという程の強い狭窄だった(唾も飲み込めなかった)ので、院内会議で血管に使う極細のものを流用する許可を出してもらったということでした。

その頃がんは首のあたりの動脈に絡み付くように広がっていて、狭窄に対する処置ですら下手すれば命にかかわるとも言われたのに、それでも父は再び食べられるようになる希望を失わずにいました。

死ぬかもしれない、けど、生きている間はちゃんと生きる努力をしたい。

とても父らしい考えでした。



切らなければ良かった。
抗がん剤で痛めつけなければ良かった。


絶対口には出さなかったけど、私はぐずぐずそう思っていました。

切らなければ、がんはあっという間に咽頭や肺や移ったでしょう。
(事実、病理解剖で肺への転移が見つかりました。)
それでも本当にあれで良かったのか、三回忌をとうに過ぎてなお考えてしまいます。



父さん、ほんとはどうすれば良かったんじゃろうね。

そんなとこでわろうちょらんと、教えてくれたらいいのに。

初日はそんな事を思いながら、仏壇に手を合わせてきました。