表面の思想のブログ

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ブログみたいなクソです。

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小型扇風機がウンウンと唸って、ミムラの長い髪の毛を巻き上げる。

6畳間の押し入れに育つ緑は上質のそれとは若干違う発色具合。

それでもミムラは「おいしそうでしょ?」と得意げの極みで、オレもニコニコ生きててよかった。

録画したいつのだかわかんねー日米野球のビデオを見ながらオレたちは作業をはじめる。

作業中につまみ食いはしない。終わんなくなってしまうからね。

とか思ってたら横でミムラがプカプカ浮かべてやがる。

ず、ずるいぞ! オレもオレも! ってんで結局終わらなくなった。

「ゥイッチロォゥー スゥズゥゥゥゥウウキィ!」という声。

見るとテレビジョンの目の前に正座して、ミムラが画面の中のイチロー呼びまくってる。

ギャッハッハ、呼んでもこねぇよ!でもミムラは止まらない。


「ゥイッチローウ スズゥゥゥゥウゥキィィィ! スズゥゥゥゥキィ! スズズッズズキィ! 」

ギャッハギャッハッハハ。

ウヒィウヒィ。

ニヘニヘヘ。バカでー。

お前バカでー。


でも、オレもちょっとだけ呼んでみようかな?

ウヒ、ヒヒヒ。

ダメだ、笑っちゃう。


「ウィッチローズズズゥキィ! ヒヘーヘヘヘ! ゲラゲラゲラ」

ってお前ほら、ボンズ出て来た、ボンズ! 

バリーボンズって言わないの?

言ってごらん?

ブ、ブフィィッィッヒィ!ゲホゴホ。

ほら、これちゃんと持って…、火つけて。

あ、あれボンズじゃねぇよ!ゲェーャーヒャッヒャッヒャ!ただの黒んぼだって!黒んぼってアッヒャッヒャ!


『夢は持つもの』ではなく『叶えるものだ』
『やろう』ではなく『やらなければならない』
『愛してる』いや『愛してた』
そんな言い回しが、少しキザっぽくて好きだった・・・。
好きじゃなかった 微塵も。

髪を伸ばし始めた1989年 街はバブルで賑わいを見せ
ジャパンアズ何とかっぽい言葉が あるっぽい感じの日々。

僕は小学生として 毎日を過ごす。
16段変速のギアつきマウンテンバイクを買うことが夢
ビックリマンチョコの箱買い。
腕時計に付けられた ミニライト。
戦艦大和のプラモデルを浮かべながら入った夏休みの水風呂。
夏なら何か出来る という漠然とした『思い』では無く『想い』。

部屋の隅  おいてあるVTR。
タイトルは『東京ラブストーリー』なんて書いてある。
ビデオを見る。

今じゃ ありえないカッコ 懐かしくも何とも無い。
昔録音したカセットテープを押し入れの中で聴く。
小学校三年の僕の声。

今や 僕の髪は25メートルを超え
家の前の電柱に巻付いている。
電気代はタダになった。
得たもの 失ったもの それぞれ在ったけど。

在ったけど。在ったけど。在ったけど。

取り合えず今 僕は幸せな気がする。
でも幸せじゃない気もする。
幸せな気もするっぽい ジャパンアズ何とかっぽい感じの日々。

「メスシリンダーって卑猥な形だよね。
これを見ると、先生のオスシリンダーが
ズビズバ反応しちゃうんだ。ほらね?」

そう言うなりズボンもろともパンツをずり下ろし
己の怒張したペニスを生徒たちに見せつけた化学の臨時講師イヌキチは
教室の大パニックをしっかり見届けてから、ややうっとりした表情を浮かべ
「そんじゃ!」という言葉を残して4Fの理科室から飛び降りた。

享年34歳。

この事件の後、マスコミは大挙して白浜女子高等学校に押し寄せイヌキチの珍奇な人格を面白おかしく報道した。
全国の小中学生の間では「オスシリンダー」という言葉がちょっとした流行語になったりもした。
結果、校長は辞任し、イヌキチの婚約者だったノリコ先生は頭をおかしくして、檻のついた病院に収容された。それ以外にも色々あり、ようやく騒動が落ち着いたのは、イヌキチの自殺から3ヶ月経ったころだった。
 
私も事件の重要な関係者として、何度か警察に呼び出された。
マスコミも私を追っかけたし、2ちゃんねるにも書き込まれたし家に変な電話がかかってきたりもした。
なぜかというと、私はイヌキチと肉体関係を持った生徒の1人だったからだ。
イヌキチは私以外の生徒ともセックスをしていて、私だけに被害が集中することはなかったけれど
それはそれでショックだった。だって私はイヌキチがほかの子とエッチしてるなんて知らなかったから。

ともかく、イヌキチと関係を持った生徒は「自主退学」という名目で白浜女子高等学校を追い出された。

それで今、私は都立の中途半端な学力の学校で中途半端に気のぬけた学園生活を送っている。
共学なのは嬉しいけど、周りの男子は頭が悪そうで、かっこいい子があまりいない。
その上、私には転校初日から「オスシリンダー」というあだ名がつけられた。
どこからその情報が漏れたのかはわからないけど、とにかく最悪。
でも「オスシリンダー」は呼びづらかったのか、そのうち私は「オスシ」と呼ばれるようになった。
そのあだ名はちょっとかわいいかなって思った。

昨日はイヌキチの一周忌だった。
当然私は行かなかった。
そのかわり女の子の友達とカラオケに行った。
こんなのってすごい久しぶりな気がする。
ルースターズの『恋をしようよ』を歌ったら
ヨシミが「オスシ、それ、ちょっと笑えないから」だって。
私はなんだかとっても嬉しくなって、音程が外れるのも構わずに、ひたすら大声で

 やりたいだけ!