さっき、大きな通りの歩道のほぼ真ん中をボーっと歩いていた。
交通量もあるくせして目を惹く店が全然無い。その為か、店を求めてチャリがガンガン通る。
真ん中を歩いていたもののチャリが横を通るくらいの余裕はあったから、あんまり退かないで真ん中を歩いていた。
すると、後ろからチリンチリンチリンチリンと怒濤の如くベルを鳴らしてくるオバサンがチャリで来た。
ベル鳴らされると、若干カチンと来るタイプです。「今からそこ通るんだよ、退かねえと轢くぞコルァ!」って言われてる気がして。心が狭い。
「なんだテメェ十分通れんだろうが!」と思って、振り返ったけど全然退かずに、オバサンにガードレールぎりぎりを通らせた。
散策のつもりで通りを歩いてきたのだが、あまりにも何も無い為、途中で反対側に渡り引き返した。
その時も真ん中を悠々と歩いていた…すると。
前方から、ただならぬ気配を感じた。
はっと顔を上げると、目を見開き、頬を極限まで膨らませたおじいちゃんが、チャリに跨り猛スピードでこちらに向かって突進してくる。
久し振りに肩を震わせるほど驚き、思わず立ち止まってしまった。
おじいちゃんはその形相のまま、減速する事無く、その場に佇む自分の横を疾風の如く走り抜けていった。
その後、悟った。
おじいちゃんはきっと、あの歩道の化身だったのだ。
オバサンが後ろからチャリで来たにも関わらず、道を譲らず退かなかったから、お怒りになったのだ。
「歩道は譲り合って使いましょう!」と忠告する為に、人へと姿を変えて現れたのだ。
すみません、歩道の化身様。今度から端っこ歩きます。