日本は独立国?

パトリオット・エクスプレスとは、アメリカ空軍のチャーター便のこと。アメリカ本国と世界中のアメリカ軍基地を結ぶ定期便で、アメリカ軍人、家族、関係者が利用している。日本に飛来する定期便の場合、基本スケジュールは次の通り。

  木曜日朝、シアトル・タコマ国際空港を出発、金曜日、横田―岩国―嘉手納  

  土曜日朝、嘉手納出発、前日のコースを逆にたどりシアトルへ戻る

 

乗客は横田到着の際、日本の法務省の入国審査は必要なく、実質的に横田基地から日本へ自由に入国することが出来る。2017年、トランプ大統領は来日時、大統領専用機で横田に到着、アメリカ軍関係者を前に演説し、その後、ヘリコプターで都内のアメリカ軍のヘリコプター基地、さらにニュー山王ホテル(アメリカ軍基地)に移動、日本に入国している。この例でも分かるように、アメリカ軍関係者はこの便を利用すれば、アメリカ国内を移動するのと変わりなく、日本中を移動することが出来る。日本は彼らに対して日本の法律を適用できない、つまり日本は主権を喪失している現実がある。

 

数年前、北朝鮮で抑留されていたカナダ人が解放され帰国する事件があったが、帰国ルートは平壌―横田―カナダであったことを覚えている日本人も多いと思う。このカナダ人は日本を通過しているが、日本はこの件に全く関与することが出来なかった。日本にあるアメリカの軍事基地には日本の主権は及ばないのである。

 

このようなことが何故可能なのかというと日米間に安全保障条約が結ばれており、その中に地位協定というものがある。この地位協定は国際条約で日本の憲法の上位にある。従って日本国憲法は元より日本のあらゆる法律は地位協定におよばないのである。このような地位協定は日米間だけでなく、米軍基地のある欧州諸国とも結ばれているが、各国の主権は守られているようだ。日本だけが屈辱的なアメリカの属国並みの扱いを受けているが、日本の政治家や識者は本気になってこの屈辱的な地位協定を改定しようとしてないように見える。本気になると言うことはこの屈辱的な実情を国民に知らせ、国民の世論をバックに本気になってアメリカと交渉し日米両国に平等な協定に近付けることである。しかし本気になってこれをやろうとする政治家は見当たらないようである。

 

日米地位協定(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定)は,在日米軍による施設・区域の使用を認めた日米安全保障条約第6条を受けて,施設・区域の使用の在り方や我が国における米軍の地位について定めた国会承認条約である。


次の図は日本、ドイツ、イタリア、ベルギー、イギリスがアメリカと結んだ地位協定を比較したものである。日本以外、国内法が地位協定より優位にある。即ち各国の主権は守られている。日本だけは完全にアメリカの属国であることが明らかである。本当に情けないことではないか。

 

 

5月26日、トランプ大統領が来日するが、前回同様、日本の主権など一切考慮せず、いきなり横田に乗り入れるのか、或いは歴代アメリカ大統領にならい、

形だけでも日本を独立国と見なして、羽田に到着するのか筆者にはとても興味がある。我々日本国民はこの事実を認識し、地位協定を他国並みに改正するよう

政府に対し声を上げねばならぬと強く思う次第。以上がトランプ大統領来日前の筆者の感想である。                     1-4-9記