婚姻率が下がり続ける?

 

4月13日の産経新聞一面に「働き手 最低59%」「総人口8年連続減」という記事が大きく出ていた。総務省の発表によると、平成30年10月1日時点で総人口は前年より26万3千人少なく、8年連続のマイナスで、生産年齢人口も51万2千人減り、全体にしめる割合は59.7%、比較可能な昭和25年以降では最低となるそうだ。この傾向が続けば日本は毎年人口が減少し、最終的に日本という国が消滅してしまう可能性も否定できない。この新聞記事には、人口減少の原因やそれを防止する対策については何も書いてない。

 

↑ 婚姻率・離婚率(-2018年、2018年は推計値)

出典:厚生労働省

 

重大なことなのでその原因対策を考えた見ることとした。まず初めに原因として考えられるのは若者を取り巻く厳しい環境である。日本の若者は将来の希望や夢が持てない状況に置かれているようだ。上に掲げたグラフは婚姻率の推移を表したものである。1971年から婚姻率が急速に低下している。1971年は大阪万博が終わり、さらにオイルショックがあり、日本経済が低迷し初めた時期であった。その後一旦やや回復するが1989年バブルが破裂した頃から婚姻率は下げ続けている。結婚して家庭を持ち子供を持つ人間としてあたり前の希望・夢が現実には持てなくなってきている。その背景には20~30年間、国民の所得が全く増えていない現実がある。ある程度の資産もある年配者はまだ良いが、若者にとって所得が増えないのは大変なことである。結婚して子供を持つには厳しい環境なのである。結婚したくとも出来ない事情(所得が増えない)があるのではないかと思われる。結婚するカップルが多くなれば子供は増える可能性は高い。

 

結婚したカップルの子供の数は減ってはおらず、むしろ増えているようである。子供を増やすのは若者を経済的に豊かにしてやらねばならない。若者の所得が毎年増えるような経済にしなければならない。若者だけでなく国民全体の所得が増えるようにしなければならない。その為には経済成長が必須である。経済成長即ちGDPが毎年増えるようにしなければならない。勿論経済だけが原因ではないが、経済が大きく影響していることは否定できない。

 

過去20~30年、日本は経済成長をせず、むしろピーク時に比べGDPを15%も減らしている。つまり日本国民は15%も所得を減らし貧しくなっている。この間、世界は平均でGDPが2.4倍になり豊かになっている。問題なのは経済成長をしない咎が若者に厳しくのしかかっていることである。これが日本の人口減の真の原因なのである。対策は簡単、誤れる緊縮財政路線をやめ積極的な財政政策を行えば日本はデフレから脱却し、他国並みの経済成長を取り戻し、国民も所得が毎年増え豊かになることを実感することになる。特に若者が元気になり、結婚も増え子供も増え日本消滅の危機から脱却することが出来るのである。この簡単なことが出来ないのは財務省をはじめ経済学者、マスコミが騒ぎ立てる「財政破綻」の大嘘のためである。自国通貨建ての債務(国債)で通貨発行権を持つ政府が財政破綻するわけがない。折しもアメリカでMMT(註)議論が起きて財政破綻論が大嘘であることが分かってきているのは日本復活の良いタイミングではないかと思う。

 

註)MMT:Modern Monetary Theory 近代貨幣理論

MMTとはModern Monetary  Theory のことで近代貨幣理論と訳される。要約すれば「貨幣的主権を持つ政府は、政府の債務超過による破綻は起こりえない」というもので、現在、不況にあえいでいる日本にとっては絶好の救済理論である。興味のある方はウイキペデイアを参照されたい。

ja.wikipedia.org/wiki/Modern_Monetary_Theory

                             H31-4-15記