公共投資が経済成長の肝だ!
過去20数年全く経済成長をしなかった異様な国は、世界広しと言えど日本だけであるが、この事実をまともに取り上げようとする識者・政治家・マスコミは何故か見当たらない。
経済成長の真の意味は?
経済成長は名目GDPの推移で分かる。名目GDPとは分かり易く言えば一年間の国民の所得の合計なのである。「国民の所得が20数年間増えなかった」ということは言い換えれば、この間に日本国民は相対的に貧乏になったということなのだ。世界を見ればこの間、平均で2.4倍の経済成長をしている。20数年で日本人以外の人々は2.4倍所得が増え豊かになっているのだ。日本人は我慢強いのだろうか、それとも鈍感なのだろうか、筆者には理解できない。なぜ日本だけ経済成長ができなかったのか、その原因が公共投資にあると思われるので、以下、そのメカニズムを探ってみることにする。
公共投資とは
ウィクペディアに公共投資は次のように出ている。少し長いが大切なことなので全文載せておく。以下引用。
“公共部門 (政府部門) による投資で,民間投資に対置される。統計上,政府資本形成と呼ばれ,設備投資 (施設) と在庫投資から成るが,前者がほとんどであるため,政府固定資本形成をもって公共投資と考えてよい。第2次世界大戦後,日本では急激に増大し,国民総生産 GNPに占める割合は先進国中でトップ・クラスにある。政府資本形成は行政投資と産業投資から成り,前者は中央政府および地方政府が道路,港湾,河川,農業 (土地改良,開拓など) ,林業 (造林,林道など) ,水産業 (漁港整備) ,災害復旧,文教施設,厚生福利施設,防衛関係施設,官庁営繕,都市計画,空港建設整備などに支出する資本形成であり,後者は国有林野事業,政府系金融機関などの収益的事業における資本形成である。なお行政投資のうち国の一般会計で行われるものは公共事業関係費と呼ばれ,公共投資の圧倒的部分を占めている。年々の公共投資の蓄積額を社会資本と呼ぶ。”
誤解を恐れずに言えば、公共投資とは民間では行えない経済にとって不可欠の公共インフラ整備への投資であり、経済成長の必須要素である。「年々の公共投資の蓄積額を社会資本と呼ぶ」とあるが、まさに公共投資により国富(註)が増大するのである。
一方、国民の公共投資に対するイメージはあまり良くないように見える。公共投資は無駄が多い、汚職の元だ、効率の良い民間に任せるべきだとか、一見もっともそうな意見が多いが本当にそうなのだろうか疑問である。よく考えて見るとこれらの意見は誤解に基づくもので公共投資の本質を見ていないものが多い。
一例を挙げれば、防災への投資がある。ダム、堤防等無駄に見えるかもしれないが百年に一度、千年に一度の大災害(地震、火山の噴火、津波、台風、水害等)に備えるのは無駄だと言えるだろうか。無駄に見えることが良いことなのだ。特に世界一災害の多い日本という国は、防災だけでも他の国の数倍の公共投資が必要な特殊な国なのだ。
公共投資の推移
上に掲げた図は内閣府の公表したものだが、非常に興味深い。1990年以降、公共投資総額と公共投資対GDP比率が同じように動いていることに気が付く。公共投資抑制がGDP(国民の所得)を抑制することとなっている。
日本の過去のGDPを見ると1990年バブル崩壊により一気に不景気になり民間の消費・投資が減少しGDPも腰折れ状態となってしまった。これを乗り越えようと1990~1996年と公共投資が増やされたが、その効果が出る前に1997年、橋本内閣の財政健全化路線で公共投資の削減が始まり、GDPは増えずデフレが本格化することとなった。上図を見ても公共投資のピークは1996年、約42兆円であったが、それ以降毎年減少してきた。安倍内閣になりやや増額されてるようだが、デフレの流れを止める勢いはないようだ。現在も公共投資は27兆円程度でピーク時の半分程度である。これでは経済成長は無理であろう。
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公共投資とGDP
GDPを消費・投資面から見るとGDPは次のような項目からなっている。
1個人消費
2政府消費
3住宅投資
4民間設備投資
5公共投資
6純輸出
公共投資に絞ってみると公共投資を増やせば、GDPは少なくとも公共投資の増えた分だけ増える。実際には乗数効果があり公共投資額よりGDPは増えるのである。公共投資を減らせばGDPは減るのである。先の図で1980~1990年は景気が良く公共投資は横ばいであったが、個人の消費、住宅投資、民間設備投資が増えることによってGDPは増えていった。このように公共投資はデフレ・インフレといった景気やGDPと密接に関係している。特にデフレ期では民間消費、民間投資が伸び悩むのでGDPは減少する。これを防ぐためには政府が公共投資を増やす必要がある。
公共投資を増やしGDP(国民の所得)を維持というより増やしていかないと民間は景気が悪いからと、さらに財布のひもを締めるので、デフレが深刻化することになる。デフレ脱却には公共投資の大幅拡大しかないことに気がつく。世界一の災害大国である日本にとって公共投資は国民の生命を守るカギでもあるのだ。橋本内閣の頃から財政再建の名のもとに緊縮財政、公共投資の削減が続き日本は世界でも珍しい長期デフレに苦しめられることとなった。
公共投資増額が日本を救う
財政赤字という政府の(国ではない)負債が膨張し、このままでは財政破綻すると一時大騒ぎをしていたが、なぜか最近はプライマリーバランスの達成にお題目が変わったようっだ。日銀が大量の国債を購入したため最近は政府の負債は実質的に300兆円ほど減少してあまり問題になっていないようだ。巨額の財政赤字というがその内訳は建設国債と赤字国債に分れている。建設国債は法律でも認められており60年で償却し、建設国債で作られたものは公共のインフラとして不可欠のものである。政府の財政赤字に建設国債を入れるのは基本的に間違っている。
問題なのは、法律で禁じられている赤字国債を特例として認めたことにある。赤字国債は政府の支出を税収で賄えないため特例として発行ができる国債で、これが増えるのはあまり好ましいことではない。赤字国債など発行しなくてもよいように税収を確保せねばならない。税収はGDP(国民の所得)に密接な関係がある。GDPが増えれば税収も増える。GDPという鶏は税収という金の卵を産むのである。公共投資という餌は金の卵を産む鶏の貴重な餌だと思われる。金の卵を産む鶏に十分な餌(公共投資)を与えようではないか!
註)国富:
国民全体が保有する資産から負債を差し引いた正味資産。ストック統計の1つである。自然災害や戦争、その他の出来事によって国富が減少することを「国富の喪失」という。
国富は再生産可能な生産資産である「在庫」、「有形固定資産(住宅・建物、構築物、機械・設備、耐久消費財など)」、「無形固定資産(コンピュータソフトウェア)」と、「非生産資産(土地、地下資源、漁場など)」を足し合わせたものに「対外純資産」を加減して求められる。国民総資産から総負債を差し引いたものと同じとなる。日本の正味資産としての国富は、この10年ほど概ね3000兆円前後で推移している。公共投資は道路、ダム、鉄道等使われ有形固定資産として経済に不可欠な国富を増やす大事なもの。
