首相官邸のブログを見ていると、アベノミクスは第二ステージに入った。より強力な新三本の矢で成長戦略を加速させるとある。

新三本の矢は何かを見ると
     ①希望を生みだす強い経済(雇用拡大、地方
       創生によりGDP600兆円)
     ②夢を紡ぐ子育て支援(出生率1.8)
     ③安心につながる社会保障(介護離職ゼロ)

安倍総理は強いリーダーシップで以前の日本のリーダーが従来出来なかったことを進めており大いに評価している。しかしこの三本の矢には疑問を感じる。それは内容というより言葉に対する感度、乱れとでもいったものである。

安倍総理が言う三本の矢のうち、GDP600兆円達成にしても目標のように思われる。三本の矢は三つの「的」というべきではないかと思ってしまう。

そんな些細な事をという方が多いと思うが、ここに重大な問題がある。最近の日本人が言葉に関し正確さを欠いていることである。

たとえば、文化と文明の違いや教養と知識の違い を明確に言える人はあまりいない。皆さん、当然自分なりに分かったつもりでこれらの言葉を使っているのが現状ではないか。

そんな些細な事をという人は多分シナ文明に影響されたのだと思う。シナでは漢語の特徴でもある曖昧さにより細かいことは無視するのである。(この辺のことは以前ブログに書いた「歴史ってなーに?」をお読み願う)

山本夏彦さんというエッセイストの言葉に「人生は些事から成る、細部に神は宿る」という名言がある。細部にこだわることが日本文明・日本人の特徴でこれを失ってはいけないと強く思う次第。

物理・化学・医学のノーベル賞を最近日本人が受賞しているがこれもこの細部にこだわる日本文明の強みが表れたものと思う。

人間が動物と異なるのは「考える」ことが出来るからである。考えるという行為は言葉による。言葉がいい加減になると考えもいい加減になる。その意味で最近の日本人の言葉の乱れ、誤った使い方、不正確さが大変気になるのである。

安倍総理の発言もこういう意味で大変気になるが如何であろうか。

的を射落とすためにはそれなりの強力な矢がなければならない。GDP600兆円という的を射落とすために必要な矢は何本かあるが当面可能性のある矢は公共投資等のインフラ整備に政府が金を惜しまないことである。これが最も即効性のある矢ではないか。

日本全国通行不能なトンネルや橋が2万以上あると何かの資料でみたことがある。首都圏の高速道路も50年も経過し相当な痛みがあるようだが放置されているように思われる。このようなインフラ整備は決して無駄でなく直接GDPを増加させる。

安全保障の面からも無駄な投資ではない。それにもかかわらずなぜ投資できないのか。

巨大な国の財政赤字(これは大嘘)のため政府は効果的な財政政策が出来ない。日本経済にとって確実にマイナスなのに財政再建と称して消費税を上げる愚策にこだわる。

これらはすべて言葉の乱れに原因がある。「国の借金」は誤り「政府の借金」が正しい。言葉の乱れを正すことがいま求められる