今日、ある待合いで
いつものように本を読んで待っていると

「なんの本読んでるん?」
と、70代ほどの女性が話しかけてきた。

本の表紙を見せると
「あぁーその本、おもしろいね。私も読んだよ。
コロナでいっぱい時間あったから。
芥川賞とった本もこの前読んだわ」 
と、にこやかに話してくる。


この年代の人に
たまに、同じように読んでいる本を
聞かれることがたまにある。

気になるんですかねおねがい


私としては
いつも
「へぇ〜そうなんですか〜」
と返答するくらいだけど


私って話しかけられやすいオーラに変わってきてるのかしら?
なんて思ったりもした。
以前は、意味もなく
話しかけるなオーラを
わざと出すくらい
ツンケンしていたと思う。


だから、すこし嬉しいのです。


その女性は
私のことを気遣い、
続けて
「私、喉頭がんなの。
でもこの前の検査で癌が消えてね〜」
と、とても大病しているとは思えない明るい様子で話している。

「息子もがんで亡くなってね、45歳で。
その息子が『大丈夫、お母さんを守るよ』って死んでいったんやけど、きっと息子が私の癌を消してくれたんやと思ってんの」

と、サラリとものすごいことをおっしゃっている。

「でも、お医者さんは治療の成果ですって言うだけ。」
と笑いながら、
しかし、そう言いながら嬉しそうに幸せそうに見えた。


人は、見た目が笑顔でも
壮絶な体験を持っているものである。

笑顔の背景を思い、きっと大変なので時期を過ごしてきたのだろうと、切なくもあり
これからも元気に生きていかれるんだろう、と希望の光を見出して、
用事を済まして、その女性に会釈して別れた。