当時は「髪結いの亭主」という言葉もあるほど、髪結いの亭主は家族を養う事に無頓着で、自分の好きなことをしている輩を例えて言う言葉でもあります。自分はそんな言葉がとてもいやでした。だからこそ自分の仕事を通して家族を養う事こそ男としての役目でもある。そう強く思っていたことが、今の自分を創ってきたのかもしれません。

経営者としてもいろいろなチャレンジを手がけ始めました。西口に店舗ができたことで、集客に努めなくてはなりません。当時、この業界は同業組合が全ての組織でした。組合に加盟をして休日・営業時間・等に関して自主規制を行っており、飛びぬけて集客活動をする事はタブーでもありました。


 私はそんな中、駅頭に出て手配りを始めたのです。今ではどの駅に言ってもティッシュをはじめハンティング活動をしているのは当たり前でしたが、今から40年も前の話ですから直ぐに話題に上りました。そして組合の幹部の方から呼び出しがあり、とても怒られたのです。

「なぜ君はお父さんがあんなに真面目にやってこられたのに、組合を無視するような事をするのか?」と叱られ、もし今後同じような事をすれば、対抗処置を取らざるを得ない!と厳しく叱咤されたのです。


 しかし私にとって、自分の仕事をとやかく言われる筋合いは無い!と返って挑む勇気をいただいた気がいたしました。