ユキは、それまで飼った犬とは少し違ったところがありました
目が、とても鋭くて、カメラ目線が怖いほどだったのです
何かを考え、強い意志を持った目をしていました

仕草も変わっていました
特に特徴的なのは”死んだふり”をよくすることでした
犬は服従の印に腹を見せると言います
それは私も知ってるのですが
ユキは、ただ”死んだふり”をするのです
あの鋭い目は、けして、こちらを見ていません

私が芝生のところに行くと
必ず付いてきて、芝生に伏せをするのです
見ていると、そのまま手足を伸ばし
芝生の上で死んだような格好をするのです
さらに、くるっと回転し、仰向けで死んだようなポーズをとるのです

私が芝生の草むしりをすると
私がむしった草をユキが食べようとするため
私は、ユキがいる時は、草むしりはできませんでした
そして。ユキと遊んだり、近くでユキを眺めたりすると
決まって、死体ポーズをするのでした

今から思うと
ユキは、自分の死が近いことを知っていて
言葉にならないポーズで
私に、そのことを知らせようとしていたのかもしれません

「だから、一緒にいられる短い時間は、もっと遊ぼうよ」

そう、ユキが訴えていたようにも思うのです
そう思うと、胸がいっぱいになり、涙が噴き出してしまいます