問題です

”本因坊算砂は、いかにして信長の首を本能寺の外に持ち出したか?”

そのことを考えていて
私は、はたと、ひらめきました
碁盤をくり抜いて、その中に信長の首を納め
算砂は、何食わぬ顔をして、本能寺を出て行ったのです

碁の名人である本因坊が、碁盤を持っていても
疑う者など、誰一人いません
おそらくそのまま
信長の首は西山本門寺まで運ばれたのです

信長は、遺体を焼けと命じて、自刃しました
近習達も、当然、そのつもりで
本堂の中に遺体を安置し、祭壇も作りました
当日の本能寺には、職人達が道具や材料を備えて詰めており
簡単な造作はすぐに出来たからです

可燃物を積み上げ
そのまま、本堂ごと、燃やし尽くそうとした、その時
突然、本因坊算砂は、碁盤を差し出し

「この中に信長様の首を納めよ!」

と、言ったのでした

近習達は、驚きましたが、すぐに同意しました
火を付けても、すぐに燃え落ちるわけではありません
今すぐにでも明智の軍勢が踏み込む状況では
信長の遺体も首も、敵に奪われてしまう危険が大きいからです

さらに付け加えれば
算砂は、碁の名手であるばかりでなく
日進という名の僧侶でもあり、信長とも親しかったので
首を預け、信長の菩提を弔ってもらうには、理想の人物だったからです

その場で、職人に命じると
あっという間に、碁盤を裏側からくり抜き
信長の首を納めると、綺麗に蓋をしてしまいました
どう見ても、碁盤以外の何物にも見えません
算砂は、その碁盤を持って、平然と本能寺から出て行ったのです

首を算砂に預けて安心した近習は
遺体も、その場から移動させることにしました
ここに置いていては、信長の遺体であることが分かってしまい
明智方に奪われてしまう危険が大きいからです

首の無い信長の遺体からは
信長の遺体であることを推定させるモノは、全て外され
庭の藪の中で、荼毘に付されたのです
こうしておけば、明智の軍勢が来ても
仲間の遺体を焼いていると、言い逃れできるからです

そこへ現れたのが
青玉上人の一行だったのです
上人の一行は、信長の遺品を預かり
遺骨の処理も引き受けたのです
そして、近習達は、安心して討ち死にしたのでした