蝉の死骸を見ました
事務所の前に2匹並んで落ちていました
この季節には、毎日、蝉が死にます
我が家の庭には、沢山、蝉がいますから
死骸も、珍しい存在ではありません
この季節の、当たり前の現象です

蝉の抜け殻のことを

”空蝉(うつせみ)”

といいます

私は”空蝉”のことを蝉の死骸だとばかり思っていました
蝉の死骸は、実に”からっぽ”な感じがあります
だから”空蝉”だと思っていたのですが・・・
でも、やはり、違うのではないかとも思ったので
一応、調べてみたら、やはり違い、蝉の抜け殻のことでした

私は、源氏物語に「空蝉」の章があるのは知っていましたが
ちゃんと読んだことが無くて、知らなかったのです
空蝉とは、光源氏の誘惑を避けて
着物を一枚残しただけで逃げた女性のことだったのです
だから”抜け殻”というわけです

私が”空蝉”と言う言葉に強烈な印象を受けたのは
和宮の和歌でした

家茂将軍は、大阪で亡くなり
和宮へのプレゼントの西陣織とともに、棺が帰って来ました
それを見た和宮は、西陣織を棺にかぶせ

空蝉の 唐織り衣 いかにせむ 綾も錦も 君ありてこそ

(うつせみの からおりごろも いかにせん あやもにしきも きみありてこそ)

と、歌ったのでした

美しい織り柄の西陣織のプレゼントは
それを着て、あなたにお見せできるからこそ嬉しいのです
あなたがいない今となっては、この着物をどうすればいいというのでしょう

・・・というほどの意味かと思います

和宮の、強い愛と悲しみが伝わってくる歌です
悲しくも、感動的な歌です

私は、この歌を知ってから
愛する対象を喪った女性のことを空蝉というのかと思い込んでいました
もはや鳴く(愛を歌う)ことの出来ない蝉のことを・・・