昨日、美術展を観て、思うことありました
忘れないうちに、ここに書き留めておこうと思います

西ヨーロッパの近代社会では、絵画は写真の代わりでした
写真が、まだ発明されていなかったので
その代わりを絵画がしていたのです
写真は、実にタイミングの良い発明でした

19世紀のヨーロッパには、現代の写真のように
小さくて、家族や身近な景色を写実的に描いた絵画が出現します
これは、新興市民階級が、自分達の生活に自信を持ち
自分達の日常生活を肯定し、愛したからです

マリア様や王女様でなくとも
我が妻や娘も、十分美しいではないか
お城や邸宅、荘厳な教会とは比べものにならないけれど
小さな我が家は快適であり、幸せな家族の聖域である
それらを小さくて写実的な絵に描いてもらい
手に持って運び、親族や友人と語らう

そうしたライフスタイルの発生が、新しい芸術を生み出しました

今日、写真に取って代わられた表現は
実は19世紀のヨーロッパの画家達は、すでに試みていたのです
現代のスナップ写真に通ずる、身近な人物や風景を小さな絵にすることは
19世紀ヨーロッパの市民社会が生み出した文化だったのです

20世紀に入ると
ヨーロッパ絵画は、写実を離れ、自由な表現を開花させます
まさに百花繚乱の様相を呈し
今日の自由な絵画表現の原型が出揃います

これも写真の発明と無関係ではありません
もはや、写実表現では、画家達は写真に勝てなくなったからです
画家達は、改めて、絵画表現とは何かと考えねばなりませんでした
その苦闘の結果が、20世紀が生んだ自由な絵画表現なのです