この話は父の記憶というより
私が、父を含め、何人かの人から聞いた話をまとめたものです

やはり、終戦後間もない頃
ある夕暮れ時、見ず知らずの男性が1人
我が家にやってきました

この男性は、夕暮れ時に道に迷い
道を尋ねて、我が家にやってきたのでした

その、新潟弁丸出しの男性は
話してみると、悪い人ではなさそうです

そこで、なんと!
祖父母は、もう暗くなってしまったから
今夜は泊まっていきなさいと
その突然の訪問者である男性を家に泊めてしまったのです

それから、その男性と我が家の交流が始まりました
その男性の名前は田中秀男といい
我が家の近くで建築工事を請け負っていた建設会社の人でした

ある時、田中さんから

「今度、身内で有望なのが代議士に立候補する」

という話を聞きました

会社には、田中さんの身内や、新潟出身者が多いので
選挙応援のため、皆で新潟に行くという話です

その話を聞くや、祖父母は、一生懸命応援してきなさいと

「あの時は秋本さんから、あれを持って行け、これを持って行けと、随分いろいろなものを持たされた」

と、後年、田中さんが語るほど
主に食料品を、沢山持たせたということです
その内容は、さすがに米どころ新潟の人に米は持たせなかったそうですから
ニワトリやサツマイモなどを持たせたのだろうと思われます

その時立候補したのが田中角栄です

田中秀男さんは、田中角栄の従兄にあたります
田中秀男さんと田中角栄の母親同士が姉妹という関係です
秀男さんからみれば、角栄は母親の妹の子供ということになります

そんなわけで

「田中角栄」

という、よくある名字と、変わった名前の政治家を
まだ、その名が世間に有名になる前から、父は知っていたのでした