人が何かを言ったり書いたりするのは
本当のことを言うためではありません
自分に都合良く、他者を動かすためです

人が情報を発するのは、本質的に
その情報によって他者を動かしたいためです

相手と自分との間に明快な力関係があり
自分が相手より優位にある場合は、ただ命令するだけですみます
しかし、相手との関係が対等か劣位である場合は
情報を伝える相手に何がしかの動機付けをしなければなりません

人を動かしたい時
本当のことを言って、しかも相手にメリットがある場合は
そのまま、本当のことを言うだけでことはすみます
しかし、本当のことを言うと相手が動いてくれないような状況では
人は嘘をつく誘惑から逃れることができません

真面目な人は、嘘をつくこと自体を道徳的に許しがたいことだと感じます
しかし、そうした真面目な人でも
やはり人は嘘をついてしまうものです
そして、真面目な人ほど、そのことで、いつまでも心を悩まします

ところが、もともと、言葉を発する行為は
何らかの自分の利益のための行為であると考えている人は
正直者をバカ正直と呼んで馬鹿にします
状況によっては平気で嘘をつきます
そのことを心に病むどころか
相手を上手く騙せれば喜ぶし、騙すことに失敗すると口惜しがります

人によって、嘘の受け止め方はまったく違います
「嘘」というものを、心の中でどのように位置付けているのか
人によって大きく異なっているのです