”事件”から数ヵ月後
私はこの件を人に話しました
マンションの補修を担当していた現場監督でした

昼間、雑談の中で、なんとなく
数ヶ月前の奇妙な出来事を話してしまったのです

彼は

「怖がりながら車を運転していたんじゃないですかァ~」

と、まともに取り合ってはくれませんでした

私は、話す相手を間違えたと思いました

それからしばらくして・・・というより何年かして
「ムー」という雑誌の読者投稿欄に掲載されていた
交通事故で九死に一生を得た人の体験談に注目しました

彼は病室でビデオテープを見ていると
突然、自分の交通事故のシーンになり
そして、手にカマを持った黒装束の男が

「しくじった」

と、つぶやくシーンが見えたそうです

あれは”死神”だったのだろうか・・・というのが、ご本人の感想です

私は、これを読んで
自分が出会ったバケモノも”死神”ではなかったかと考えました

あの場所は
橋に向かって道路が上り坂になっているため
先がまったく見えません
センターラインもありませんから
道路の中央を対向車が来たら、正面衝突して川に転落する危険があります
道路と川には、かなりの高低差があります
また、湘南台から藤沢や辻堂方面への抜け道でもありますから
夜間は、かなりスピードを出して走る車もあるのです
大変危険な場所と言うことが出来ます

私を手招いたあのバケモノは”死神”だったのかもしれません

そして、私は
私に強力な守護霊がいるため
死神は手出しできずに、照れ笑いを浮かべた
・・・そんなふうに解釈してみたのです

そう考えると、気が楽になり
家族にも、知人にも、妖怪遭遇譚を気楽に話せるようになりました