妖怪を見た直後、私の抱いた気持ちは

「いるんだ・・・」

という、不思議な実感でした
少し感動的な気分すらありました

驚きではあったはずなのですが
それ以上に、本当に、妖怪ともバケモノとも・・・
なんと呼んでいいのか分からない不思議なモノが
間違いなく存在することへの
不思議な感動と驚きがありました

しかし、このことを人に話そうとは思いませんでした
自分ですら、信じられないのに
他人が、この話を信じるわけがありません
家族にすら話しませんでした

”バケモノ”を見た翌日の昼間
私はその場所に行って”現場検証”をしました
そして、やはり”アレ”は人間ではない・・・と確信したのです

橋の欄干は思いのほか低かったのです
バケモノの身長は橋の欄干と同じくらいでしたから
人間にしては低すぎます
実際、車の運転席に座る私の目線と
バケモノの目線の高さが同じくらいだったのです

そして何より・・・見た瞬間

「人間ではない!」

・・・と感じた・・・私の直観と実感です

今、私の中で、記憶のあいまいな部分は
バケモノが上着を着ていたかどうかということです
ボロをまとっていて、私を手招いた手が袖の中から出ていたような気もするし
何も身に着けていなかったような気もするのです
全身が真っ黒であったことは、よく憶えています

それと、もう一つ
口の形状が、はっきりしません
正面から見ると、人間の老人の顔に見えたのですが
横から見ると、ケモノのような
狼を思わせる口だったように記憶するのです