農薬散布を減らしても、思ったほど収穫が減らなかった結果をみて

”これなら、リンゴの無農薬栽培は可能かもしれない”

木村氏は、そう考えたのでした

誰もがリンゴの無農薬栽培は不可能だと考え
誰も成功した者はいない
誰もやったことがないことを自分がやると考えると
木村氏の心は高鳴るのでした

来年の春から無農薬を試したいということを
木村氏は義父に相談してみました
正直なところ、反対されると思っていました
自分では自信がありましたが、常識外れなことですから
説得には時間がかかるだろうと考えていたのです

「無農薬でやらせてほしい」

と義父に言うと、義父は二つ返事で

「やってみろ」

と言うのでした

木村氏のほうが驚くほど、あっさり許可が出たのです

木村氏の義父は
戦争中に出征した南方の島で、農作物を作り自給した経験がありました
ジャングルの土地を耕し、米や芋を作っていました
農薬はもちろん手に入りませんが
ナスなどは木のように大きくなったそうです
日本に帰ってからも、いろいろなことを試していて
稲の苗は何本植えたら収穫が一番多くなるか・・・など、研究熱心な人でした

翌年、木村氏は
実家から結婚の時に贈与されたリンゴ畑で、無農薬栽培を始めました
木村氏が子供の頃、実父が切り開いた畑でした
木村氏も、お兄さんと一緒に斜面を掘って
リンゴの苗木を植える手伝いをした思い出がある畑でした