トウモロコシの収穫間際になると
タヌキの被害に悩まされました
たっぷりと太ったトウモロコシが、ごっそり食われてしまいました

畑のあちこちに虎鋏をしかけると、仔ダヌキがかかりました
母タヌキは側にいて、木村氏が近付いても、逃げようとしませんでした

可哀想に思い、虎鋏を外そうと手を出すと
仔ダヌキは歯を剥いて暴れました
しかたなく、頭を踏んづけて虎鋏を外してやったのですが
仔ダヌキは逃げませんでした
木村氏の目の前で、母タヌキは子ダヌキの怪我した足を舐め続けていました

罪なことをした・・・そう考えた木村氏は
出来の悪いトウモロコシをまとめて、畑の端に置いてきました
売り物にならない、歯の欠けたようなトウモロコシがたくさんあるからです

次の朝、畑に行ってみると
置いてきたトウモロコシは、ひとつ残らずなくなっていました
それと同時に、タヌキの被害もありませんでした

それ以来、木村氏は虎鋏をやめました
そして収穫するたびに、歯っ欠けのトウモロコシを置いてきました
タヌキの被害はほとんどなくなりました

木村氏は考えました
人間が全部持っていくから被害を受けるのではないかと
元々、タヌキの住処だったところを畑にしたのだから・・・

餌なんかやれば、タヌキが集まり、もっと悪戯をするのではないか
そうも考えましたが、そうはなりませんでした
自然の不思議に目を開かされる思いでした

この頃が、後から思えば
木村氏の”効率農業”からの転機でした