私は司馬遼太郎を、必ずしも好きではありませんが
それでも「三浦半島記・街道をゆく42」は愛読書であり
何度も何度も読み返しています

司馬遼太郎版”ご当地ソング”である「街道をゆく」シリーズは
各地へのリップサービスを含んだ軽い読み物かもしれません
しかし私は、この「三浦半島記」をとても高く評価しています
司馬遼太郎の”史観”に共感できるからです

司馬は鎌倉幕府の成立を高く評価しており

「鎌倉幕府がもしつくられなければ、その後の日本史は、二流の歴史だったろう」

とまで語っているのです

歴史小説家の司馬が、そこまで断言することの重みを考える時
私は、自分の司馬遼太郎嫌いを見直すべきかと考えたりします
まさに、私もまた、鎌倉幕府の成立こそは
日本史のハイライトではないかと考えているからです

農地を管理し、治安を維持してきた武士達
そうでありながら政治の実権を公家に握られ
あくまで使用人の身分に過ぎなかった武士達
彼らはしばしば、公家達の理不尽に悩まされていました

平清盛が政治の実権を握っても
平家が実権を握っただけで、やり方が公家と同じだったので
関東の武士達は、それまで以上に政府の理不尽に悩まされました

その関東の武士団が頼朝を擁して立ち上がり
実現したのが鎌倉幕府でした

源平の戦いは源氏と平氏の権力闘争ではありません
理不尽な旧秩序に閉じこもる者達と
現実的な道理に合った新秩序を打ち立てようとする者達の闘いでした

武士達の勝利がもたらした新秩序こそ、鎌倉幕府の成立なのです