太宰治は、死の少し前
次のような言葉を残しています

おれはこの頃、アナキストなんだ
政府なんて、いらんと考えているんだ
全部、商人に任せればいいんですよ
商人は利にさといからね
鉄道だって、道路だって、今より上等なものを、ちゃんと作ってくれますよ
役所とか、役人とか、そんなものは百害あって、一利なしなんだ
今度の戦争で、実証済みじゃないか

まるで、国鉄民営化や道路公団民営化の先取りです
規制緩和、自由化の先取りです
役所の非効率、反国民性の指摘
まるで、社会保険庁の問題点を、ずばりと言い当てているかのようです
現代でも立派に通用する政治論です

太宰治とは、60年後の未来を予言していた思想家でした
そうした太宰治の本質を理解できた日本人は
過去には、ほとんどいなかったのではないでしょうか?

あまり自慢したくありませんが、私だけが理解していたのかもしれません

猪瀬直樹の太宰治論は素晴らしい内容です
上記の太宰のアナキズム論は、猪瀬氏の著書から拝借しました
猪瀬氏なら、当然注目する発言です

ただし私の記憶によれば、太宰は同一の内容を文章にしています
ですから、私は猪瀬氏の本を読む前から、太宰のアナキズムを知っていました

残念ながら、猪瀬氏の著書では、太宰の先見性は、まったく評価されていません

太宰のアナキズムは、思いつきや、はったりではありません
彼の信念でした

太宰の凄さは
日本が第二次大戦に巻き込まれ、やがて敗戦に至る経緯も
軍人や軍国主義のためではなく
官僚制の問題ととらえていることです

こうした認識は、今日なお、少数派のものでしょう
けれど、もっとも正しい歴史認識だと、私は考えます