グプターが逃げ込んだのは大川周明の自宅でした

原宿にあった大川の住まいは、新宿中村屋からは直線距離で約2キロです
グプターは四谷見附の教会に入り、そこで大川宅の場所を聞き
なんとか一人で、大川宅にたどりついたようです

大川周明は、元々、二人のインド人の逃亡に関わっていませんでした
しかしグプターとの関係は警察も知っていましたので
大川の自宅は警察にマークされていました

運良く、この頃、警察のマークがゆるくなっていたので
グプターは無事に大川宅に逃げ込めたのでした

たどりついたグプターは、近郊の農家のような格好だったといいます
警察とすれ違っても、手に持った果物かごで顔を隠すだけで
怪しまれなかったといいますから、不思議です

大川を見て、グプターは、まず空腹を訴えたといいます
大川は親子丼をとって、グプターに食べさせたことを憶えています

大川は押川方義の紹介で頭山満に会い、ことの次第を報告し、助言を求めました
これに対し頭山は、グプターの希望する渡米は当分無理だが
しばらく大川宅で匿うように要請しました

この時が、大川と頭山の最初の出会いでした

大川の処女作「印度に於ける国民運動の現状及びその由来」は
この時期グプターから直接聞いた話と
その後ボースから聞いた話をもとに書かれたものです

一方、グプターが逃走した後の中村屋は大騒ぎとなりました
もし途中で警察に捕らえられていたら、ボースはもとより
中村屋にとっても、どんな罰が待ち受けているのか分かりません
中村屋の従業員や玄洋社のメンバーを中心に、必死の捜索が行われました

数日後、グプターが大川宅に無事保護されているという知らせが届きました