頭山満と相馬愛蔵は、この日まで面識はなかったはずです
一方は政界上層部にまで人脈のある右翼の大物
もう一方はパン屋の主人です

相馬愛蔵は、ほんの少し前までは
インド独立運動の志士を国外退去させようとする日本政府に
義憤を感じる日本国民の一人にすぎませんでした

常連客の一人に、何気なくもらした一言が
相馬愛蔵と、彼の家族の運命を変えました

「私どものようなところで匿えば、良いのかもしれない・・・」

この言葉が人づてに内田良平の耳に入ります
内田良平は頭山満から、ある依頼を受けていました

「二人のインド人を、何処かに隠してほしい」

「仕事はあなた方に頼む、牢屋に座るのは私だ」

政界への働きかけが上手くいかず、迫る期限の中で
頭山満は最後の決断をしたのです

二人のインド人を何処かに隠してしまおう
そして、責任は全て自分が引き受ければいい・・・