ボースとグプターの二人のインド人に国外退去命令が出た直後から
二人の直接訪問を受けた各新聞者は
11月29日の朝刊で、この国外退去命令の一報を報じました

東京朝日新聞は山中峯太郎による、R・B・ボースの談話を掲載しました

ボースが語った内容は
日本に対するアジア人の共感を阻害するのが、イギリスの永年の国是であること
今回の日本政府の決定はイギリスの策に乗せられることであり
イギリスによるアジア人の連帯分断政策に乗せられており
これによって、インド人の対日世論も悪化するであろう、というものです
同じ記事の中で、日本人への感謝や感動も述べています

東京朝日の記事自体は、山中峯太郎の脚色もあるでしょう
というのも、後年、この時のことを回想して
(政府の)傲慢きわまる高飛車なやり方にムラムラ衝動されて・・・
と書いているほどですから

東京朝日新聞の社内全体が、政府への怒りと切迫感に満ちていて
山中と同僚の緒方竹虎(後に、吉田内閣の官房長官、自民党総裁)は
二人のインド人を助けるよう、同郷の頭山満に懇願しています

東京朝日新聞だけでなく、12月2日には、読売新聞にも
・・世論はようやく沸騰し・・、同情はインド人の上に注がれる・・・
という記事が出ています

二人のインド人への国外退去命令を伝える新聞記事を読んで
多くの日本国民は、日本政府への憤りを感じていました

そうした日本人の中に
新宿中村屋の店主、相馬愛蔵と妻、黒光もいました
相馬黒光の回想によれば

大英帝国の申し入れにおびえて亡命者を追い出すなんて
なんという恥さらしな政府だろうと、主人も私も憤慨した
政府が無能なら国民の手でどうにかならんものか
もっと輿論をたかめなくてはと、顔を見合わせて気を揉んでいた

・・・ということです