男の優しさについて考えてみます

白洲次郎の娘、牧山桂子さんの文章には
時々、男の優しさとはこういうものかな、とおもわせる場面が出てきます

まだ国道1号線が戸塚の踏切を通っていた頃
樺山愛輔の葬儀に参列するため、大磯に向う吉田茂総理大臣の車に
吉田総理の娘、麻生和子さん(麻生外相の母)とともに
桂子さんも同乗していました
樺山愛輔は桂子さんの祖父です

戸塚の踏切は「開かずの踏切」として有名でした
その踏切が近付くと突然、吉田総理は
「開かずの踏切」が開いているかどうか賭けようと言い出しました
しかも自分と麻生和子さんは閉まっている方に賭けると言うのです
成り行き上、桂子さんは開いている方に賭けざるをえなくなりました
大した金額ではありませんが、子供には大金でした

踏切が見える場所に来た時、何と踏切は開いていました
踏切を通過すると吉田首相はにっこり笑い

「おい和子、お前もだ。」

と言って、和子さんからも徴収し
合わせたお金を、桂子さんの手に握らせたそうです
そして、片目をつぶり

「オヤジには内緒だよ」

と囁きました

しばらくして、桂子さんは父親にそのことを話しました
彼女の父、白洲次郎は大笑いしたそうです
吉田のじいさんが戸塚の踏切を通る時は
必ず踏切が開いている時を計算して通ると言うのです