たんなる作詞家としてではなく
一人の偉大な文化人として、私は川内康範氏を尊敬します
ですから川内氏を怒らせてしまった森進一には
なんて馬鹿なことをしたのだという思いがあります

ただし、私は川内氏の言い分の、全てに共感しているわけではありません

歌が誰のものかというのは、簡単な問題ではありません
歌は、その歌を愛する全ての人のものです

大ヒットを出した歌手だからといって
その歌を勝手に作り直してよい、ということにはなりません
同じく、作者だからといって
その歌を歌うな、などという命令は出せないと思います

歌は、こちらの意思と無関係に、勝手に耳に飛び込んできます
流行歌の場合、詩も曲も、短く憶えやすいものですから
いったん憶えてしまうと、忘れたくても忘れられません

もし自分の作った歌に絶対的な所有権を主張したいなら
それは、絶対に他人に聴かせてはなりません
歌詞も譜面も残してはいけません
そうして、棺桶の中に入るまで
自分の頭の中に、しまっておかなければいけません

そんなものは、歌ではありません

歌というものは、誰もが口ずさめるように作られたもので
作者の意思とは無関係に世に広まるものです

プロの歌手がおり、プロの作詞家、作曲家がいる以上
そこに、自ずとルールは必要でしょう

しかし本来、歌というものは、一度憶えてしまえば、憶えてしまった人のものです