古い記憶を辿ることは
昔読んだ本のページを、もう一度開くことに似ています
埃を払い、黄ばんだ表紙を開け、最初の行に目を落とします
読み進むうちに、はじめて読んだ時と同じ感動が新鮮によみがえってきます
忘れていたわけではないのです
ただ、記憶の底に保存され、意識にのぼらなかっただけなのです
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”オレは何で車椅子対応住宅なんて作ろうとしたんだろう?”
そんなふうに自問したとき、真っ先に想い浮かべたのが
車椅子生活を余儀なくされた伯母の姿であり
そして、その伯母を車に乗せて我が家を訪れる伯父の姿だったのです
車椅子生活というものは、当人はもとより
車椅子を押す側の人にとっても、大きな負担となるものです
伯父伯母夫婦が帰った後は、妻とは、必ずこの件で話し合ったものです
乗降の楽な特殊仕様の乗用車のことや、住宅の作りについても・・・
妻はとりわけ、この問題に強い関心を持っていました
それは、彼女にとっても、切実な問題であったからなのです