千葉県飯岡町の同町農協(椎名兼吉前組合長)で約36億5千万円の不正融資が
行われていることが20日、同県の検査で明らかになった。
手形交換所の審査を受けない、いわゆる不良小切手で決済するなどの方法で、
約6年前から前組合長や町議ら組合員五人に不正融資を重ねており、
うち約14億8千万円は現在、焦げ付き状態。
ほとんどが前組合長の指示によるもので、
前組合長本人にも3億円以上が融資されており、同農協では、告訴を検討している。
また同日朝、農協管理課長が自宅で自殺しているのが見つかった。
県の調べによると、同農協の融資限度額では1億5千5百万円。
前組合長は組合員5人に融資する際、一部の職員に指示して
名義を別の組合員やその家族など11人分に分割。
数十回にわたり追加融資を重ね、限度額を超えるのを
カムフラージュしていた。さらに県外の信用金庫の振出しで、
手形交換所の審査を通っていない不良小切手を
現金と見なして払い戻しに応じていた。
融資先は前組合長のほか、都内の不動産業者に約14億円、
同町内のブローカーや町議に13億ー数億円が流れていた。
県ではさらにう回融資されていた可能性もあるとみている。
同農協では平成2年12月の検査でも不正融資が明らかになっていた。
同農協は組合員3041人(うち準組合員は1724人)。
貯金残高は160億円で県内では中位。
椎名兼吉前組合長は昭和14年から同農協に勤務し、昭和55年に専務理事、
今年4月組合長に就任した。実質上ワンマン体制だったといわれ、
今年3月以降は回収計画書を審査する理事会も開かれず、偽造報告書が
県に出されていた。前組合長は不正の事実を認めており、20日付で辞任した。
「私は無関係」と遺書残し管理課長が自殺
20日午前9時20分ごろ、千葉県飯岡町萩園、飯岡町農協管理課長
高野和夫さん(59)が、自宅裏の物置内でビニールひもで首をつって
死んでいるのを家族が見つけ、旭署に届け出た。
調べによると、高野さんは、物置の中に止めてあった自家用車の中に、
「農協のごたごたとは関係ない」などと書かれた遺書めいたものを残していた。
同農協には今月7日から検査が入り、本店総務全般を担当していた高野課長は、
県農林部や県信連など上部団体からの事情聴取や対応に追われていたといわれる。
読売新聞 1992年(平成4年)7月21日(火曜日)
