福島県では昨年の10月から、大規模店舗の出店を規制する全国初の条例である、「福島県商業まちづくり推進条例」が施行されています。
この条例は、大型店を出店する事業者に対して、大店立地法の手続きに先立つ計画段階での届け出と説明会の開催を義務付けていて、県は、出店計画が県や市町村の出店規制にそっているか、地域商店街などのまちづくりに悪影響はないかなどを市町村から聞いて調整し、事業者が県の意見を反映していないと判断した場合は勧告を出す。そして、事業者が勧告に従わなければ、その名前を公表したり、罰金制度なども盛り込まれたものです。 実際に、この条例の施行によって、中心市街地以外に出店が難しくなり、既に伊達市や湯川村では新規の大型店舗の計画が頓挫しています。つまり、福島県では中心市街地の活性化のために、田舎は犠牲になって、いつまでも田舎のままでいなさいという考えなのです。
しかし、この条例によって本当にその名称のとおり、<商業まちづくりが推進>されるのでしょうか?そして、これによって中心市街地は再生するのでしょうか?
むしろ、新たな大型店の出店が厳しくなったことで一番喜んでいるのは、既存の郊外型の大型店です。新たなライバルが進出してくる恐れがなくなるのだから、左うちわで商売できることになります。 そして、自由に出店している近県の大型店などへと消費者はどんどん流れています。
中心市街地の衰退は、全国どこででも見られます。商店街の活性化計画もやたら作られています。しかし、成功した事例はほとんど聞いたことがありません。 要するに一旦ダメになったものを元に戻すというのは、どう考えても無理なのではないでしょうか。
時代の流れを考えてみれば、中心市街地が衰退・空洞化し、郊外型店舗が発展してきたのは、決して大型店だけのせいではありません。 公共施設も、住宅団地も郊外に移転させ、都市を拡散させたことにより、行政も住民もいっしょになって、空洞化を推進してきたのです。 つまり中心市街地が衰退したのは、住民が郊外ですべて用を足せるようになった(中心市街地では用が足せなくなった)からなのです。
そこで注目されるのが、中心市街地に都市機能を再び集中させることです。そうすれば、住民は中心市街地でも用が足せるし、都市整備をまちなかに集中できるので、行政も経費負担が楽になる省エネ型のまちづくりといえます。郊外への新規出店を抑制すれば、商業まちづくりが推進されることなど絶対にありません。
福島市を例に取れば、せっかく中心市街地に「こむこむ」などの施設が、どんどん整備されてきていますから、解決するとすれば駐車場の問題です。民間駐車場の数はたくさんあり、いつも見ていると空きが目立ちます。それならば思い切って、「まちなか活性化のためなら、最初の1時間は無料にしましょう。」となぜ言えないのでしょうか。 行政が一部を負担してもかまいません。もし、駐車場経営者が協力しないというなら、行政が無料の駐車場を整備すればOKです。 そんな方法があるか? 実はあるんです。 たとえば、現在は映画館の利用者にしか使われていない「旧さくら野百貨店」の駐車場活用。「こむこむ」などを利用した人に、無料駐車券をど~んとプレゼントする手です。かなり簡単にできるハズです。
そして、さらにハード事業を考えるなら、福島駅前から中心市街地を回る路面電車の設置です。いまどき路面電車?と思われるかもしれませんが、実は、市街地活性化における世界の潮流はこの路面電車なのです。
欧米では、人と環境にやさしい乗り物として、路面電車(といっても、近代的なLRTですが…。)が活躍しています。乗り降りがしやすく、静かで、排気ガスが出ない。車を降りて、ゆっくりまちなか散策を楽しむ。それが欧米のトレンドなのです。国内でも、富山市で半世紀ぶりに新規路線が開通 http://blogs.yahoo.co.jp/universal2002002/1636888.html し、宇都宮市では5年後の新規開業を目指す http://blogs.yahoo.co.jp/universal2002002/1638804.html など、熱心な動きがあります。
福島市の中心市街地衰退を憂える声が多いのに、福島県や福島市の採る方策はどうも方向が違っているようです。もっと、これからは、発想を変えて、新しい商店街のスタイルを構築する、ということを考えるべきではないでしょうか・・・。