「宝地図(トレジャーマップ)」や「夢リスト100」というものが、独立・起業を目指す人たちの間でもてはやされているようです。宝地図や夢リスト100を、独立・起業を目指す人々に取り組ませるコーチ・コンサル業の人も多いので需要があるのでしょう。しかし需要や人気があることと、実際に役立つことは全く別の問題です。これらは、独立・起業の成功に向かってモチベーションを高める、あるいはモチベーションを維持する目的で使われていますが、独立・起業を目指すための必須アイテムではありません。というよりも、これらは使い方を間違えれば、役に立たないどころか独立・起業の失敗をもたらす原因ともなり得るものです。
なぜ、宝地図や夢リスト100はビジネスや人生の成功に繋がらないのでしょうか?
①借り物の夢だから
宝地図や夢リスト100は、結局のところテンプレート化された夢でしかありません。宝地図は、中央に自分の写真を貼り付け、理想の年収や肩書きを横に書き、雑誌などから理想のライフスタイルのイメージを切り抜いて貼り付けます。宝地図の研修では、時間内に地図を埋めなくてはならないため、他人の夢を借りてきて良さそうな写真を貼り付けて終わります。
タワーマンションや高級車、ブランド品や世界旅行といったものはお決まりのテンプレートです。つまり、「リア充」のライフスタイルです。そのため、リア充をウリにしているMLM(ネットワークビジネス)において、宝地図や夢リスト100がよく用いられるのです。このような他人から借りてきた夢で、モチベーションが上がるはずなどありません。本当に豪邸や高級車が必要ですか?心の底からワクワクしますか?楽しいですか?
フィナンシャルリテラシーを身に付けていれば、自由に生きるためのもっと効果的なアイデアが生まれてきます。
例えば、もし自由なライフスタイルを送りたいなら、持ち家を所有するよりも賃貸やホテルを借りたほうが利口です。住居は、自分のビジネスやライフスタイルを最適化するために積極的にセレクトすべきものであり、住居があるからビジネスの活動やライフスタイルの自由が制約されるとしたら本末転倒です。それは、人生の選択肢つまり自由を狭めてしまうということです。
人生のTPOは変わります。TPOに合わせてファッションや髪型を変えるように、自分の住みかもTPOに合わせて積極的に変えましょう。賃貸やホテルを住みかにするということは自由を手に入れるということでもあるのです。家を買うには手間が掛かりますが、賃貸やホテルはすぐに入居できます。管理組合の会合に参加する必要もありませんし、固定資産税を支払う必要もありません。それだけではなく、設備が古くなり不便だと感じれば、リフォームなどせずとも新しい賃貸マンションやホテルに引っ越せば済みます。さらに、隣近所に変な人がいるとか、治安が悪化したとか、再開発で交通のみ便が悪くなったなどといった問題にもすぐに対応できます。常に、ビジネスに最も集中できる環境や望んだライフスタイルに最適な環境を選択し続けることができるのです。それに、賃貸やホテルであれば、日本という国土に限定せずに世界中に活動の拠点を持つこともできます。
車も同じです。車も買わないでレンタルすることで、洗車や車検、自動車税の支払いや損害保険の更新といった無駄な手間から解放されます。多くの人が指摘するように、車は金食い虫です。車両本体価格はもちろん、駐車場代・ガソリン代・自動車保険・自動車税・車検などのランニングコストはバカになりません。地方の田舎ならともかく、都心部であれば電車・バス・タクシーを組み合わせれば間に合います。特に東京では、車を持って出かけてもパーキングが十分にないのですから、不便極まりありません。企業経営者におすすめは、タクシーをマイカー代わりに使うということです。タクシーであれば、レンタカーのように予約して借りにいって、ガソリンを満タンにして返却するといった余計な手間がかからずに自由に乗り降りできるからです。パーキングを探す時間も必要ないですし、お酒を飲んでも好きな時間で帰ることができます。
このような考え方は、企業経営においても同じです。ランニングコストの高い事業は利益率が低く、資金繰りに苦労し、廃業のリスクが高くなります。外注(人材派遣)は労働力のレンタルのようなものです。従業員も外注すれば、人件費をコントロールする自由が生まれます。
このように、全てを選択の自由という観点から決定すれば、宝地図や夢リスト100のような安易で杜撰なビジョンは思い描かなくなるでしょう。
宝地図や夢リスト100では、自分が世の中やマーケットにどんな価値を提供していきたいのか、どんなビジョンに基づいて人々にどんな影響を与えたいのか、世の中や人々の生活をどのように更新・変革させていきたいのかという情熱が生まれません。起業家の精神とは、世の中を更新していくということです。起業家の本質とは、イノベーターなのです。本当にワクワクする夢とは、あなたの手にする物やライフスタイルではなく、あなたが世の中に与える価値です。自分が何を手に入れたいかやどんな状態になりたいかの前に、自分が提供したい生産物(プロダクト)は何かを明確にしてください。
③経済的リタイアへの正しいフィナンシャルプランや事業計画の設計を知らないから
経済的なラットレースを抜け出すためには、まず資本主義というゲームのルールを知らなければなりません。そのためのビジネスや金融のリテラシーを身に付ける前に人生で手に入れたいものを明確にしても、目指すゴール自体が間違っているから望んだ結果は得られません。
例えば、資産と収入の違いがわかっていなければ、たとえ一億円を稼いだとしても、資産を築く前に散財してしまい何も残りません。そもそも、高級車やブランド品や世界旅行であれば、リボ払い(借金)でクレジットカードを切れば手に入れることができます。そんな簡単に手に入るもので、夢が叶ったなどと考えるのは恥ずかしくはないでしょうか。これは、経済的自由の重要性が理解できていないということです。私たちは経済的自由ではなく、見せ掛けの豊かさだけが豊かさであると教わってきました。しかし、豊かさの本質は自由であり、自由なくして豊かさは存在しません。現代では、自由を持っていない多くの経済的奴隷達が見せ掛けの豊かさを演じています。
あなたが宝地図を作成したことがあるなら、今すぐそれをゴミ箱へ捨てるべきです!宝地図のように、人生の理想の状態や生き方を明確化しておくことは重要です。しかし、まず向かうべき正しいゴールを知り、そのゴールを達成するための正しい戦略を学んでから手を付けてください。そして、経済的自由を達成するためのフィナンシャルプランと事業のビジョンや戦略を明確化してください。順番を間違えれば人生は破綻します。
無知な状態で、最初から理想の人生の状態を描くと、ただ世の中やマスメディアに植え付けられたイメージ通りのお金持ち像しか出てきません。ただタワーマンションに住みたいだとか、高級外車に乗りたいとか、世界を旅したいとかいったテンプレートの夢です。これでは、経済的自由のためのゴールや戦略や手段の選択に失敗してしまいます。無知な人間は、そもそも求めるゴール・目標そのものが間違えているのです。このような無知な人間は、情報弱者として強欲マーケッターの恰好の餌食であり、搾取の対象になるがオチなのです。
何よりもまず、夢を叶えるための正しい知識と真に求めるべきゴールを学んでください。それは、経済的自由に到達するための最短・最速のルートです。まずは、どうやったら経済的自由が得られるのかという知識を仕入れることです。その後で、理想の人生やライフスタイルを明確化してください。経済的自由をもたらす、確かなフィナンシャルプランや事業のビジョンと戦略に裏付けされた人生プランこそが、真に求めるべき価値のある人生のビジョンなのです。