北インドもだいぶ暖かくなり、最高25℃、最低は13℃くらい。この冬は例年と違って、寒さに負けなかった。少しは気力が続くようになったのか。
なるべく3食作りたての食事も続けられたのは、去年姉に頂いた冷蔵庫のおかげ。1年前まで室温で野菜を管理し、肉はさばきたてを稀に買い、加工食品はなかった。今もたまにバターとチーズを買う程度。
と言ってもインドの伝統食には冷蔵保存はほとんど要らない。精製バターのギーも、オイル漬けのアチャールも常温保存。夫の村では朝しぼりたての水牛のミルクから、ヨーグルト、バター、ギー、ラッシーを作ったそう。都市でも野菜売りのリヤカーが朝夕家の前に来る。新鮮なものばかり食べられるなんて、先進国では出来ないことだ。
私も若い頃は電子レンジがあったけど、今はもう使わない。鍋で温め直すと洗い物が増えるけど、無駄なラップを使わず食材の栄養素も壊れにくい。
面倒めんどうと言いながら、結構このエコ生活が気に入っている。最初は戸惑ったものの、せっかくだから先進国の「普通」から脱皮したいと思った。自分たちの健康や環境や、次の世代を少しでも汚さないためにも。
でも今年はエアコンは検討中。インドの高温多湿は、完全に心身をミュートしてしまうから。まぁご近所さん全員ミュートしてるから、気にする程でもないのだろう。日本とやり取りする仕事も、去年で終わりにしたことだし。
日本と仕事をしてい時、今の環境との温度差が日に日にキツく感じられた。どっちが現実なのか?って笑。どっちも現実なんだけど、昔は当たり前だった担当者の「押したり引いたり」な態度が、本当に異物のように感じられた。
どっちも現実だけど、どっちが好きか?どっちを選ぶか?
こっちを選んで唯一困ることは、私の頭の中にしか存在しなかった。心配していた事は何も起こらなかった。あなたのために、あなたのせいでと駆け引きされてた相手の事情も、もう私の心を脅やかすことはない。
ところで。
これまで私が自分の思い通りに、あれが買いたい、引っ越そうなどと言う度に、夫は一度もノーと言わない。あまり張り合いがないものだから、やっぱり日本で暮らそうとか、そうだムンバイで働こうとか、全く現実的じゃない提案をしてみても、どうしてもノーと言わない。
私がいつもしているのとは逆で、夫が私に強く何かを要求することはない。
何か一緒にしたい時は「○○に行ったら△△が出来るし絶対楽しいよ〜」とニコニコ。→楽しそうなので、面倒だけどまぁいいかと私も一緒にする。
何か手伝ってほしい時は「君は休んでて。僕が全部やるから心配しないで」とニコニコ。
(→ちょっと気が休まって、結局私がやる)
or(夫は忘れてやらない→必然的に私がやる)
私、何か騙されてる??
それとも怖がられてるのか。笑
私とは正反対の言動がいまだに不思議。インド人だから?私の思う「当たり前」は、彼には全然当たり前じゃない。夫を見ていると、楽する事は悪じゃないし、楽しむことは面倒じゃないことに気づく。
そして、長年その逆をしていた自分にゾッとする。笑
昨晩は夫、お義母さんからの電話をスピーカーにして話しながら、チャパティを焼き夕食を準備して、さらには食事を始めようとした。
長電話を切れないの?と不甲斐なく思ってしまった私。夫に代わって電話に出ると、お義母さんは言葉の分からない私のため、声のボリュームを大にしてゆっくり何度も話を繰り返し始めた。
(さっき夫に言ってた事と同じじゃん?)と、
「はーい、ありがとうございます。全部大丈夫ですから、心配しないで。今からゴハン食べます」と、
テキトーに返事をして電話を切る私。
お義母さんが言っていたのは要するに、
サンニ(夫の弟)の結婚式の服を... 市場で... 沢山買うから... あなたも村に帰って来てってことでしょ?(断片的にしか分からず)と。
(分からないのに早とちりで誤解したり、不安になる悪い癖がついている。)夫に確認しようと、
私「5月の弟の結婚式の衣装、私たちが買うの?」と聞くと、
夫「うん。サンニとお嫁さんに服を買うしきたりだからね。」と。
。。え???混乱する私。
私「お義母さん、私たちにサンニの結婚衣装を用意してってこと??」
私の変なパニクり気味を見て何かを察した夫、
「ちょっと待って。僕が説明するから」と、一呼吸置いた。
夫「まずね、母さんは君に、サンニの結婚式に君が着て行く服を買ってあげるから、村に帰っておいでって言ったんだよ。チャンディガールは物価が高いから村のマーケットでって。母さんのお金で買ってあげるって言う意味だからね。」
私「。。。」
夫「それと、僕と君からサンニとお嫁さんに服を買うっていうのは、兄姉全員が新郎新婦に贈り物をするしきたりだからなの。僕らの時も姉さんたちから貰ったでしょ?カジュアルな服でもいいから、1着ずつ贈るだけだよ」と。
私「。。。ごめん、勘違いした。。。」
夫「僕がいるんだから、何も心配することないのに。」
いやいや、
お恥ずかしい限り。。。
とっさに、去年の自分たちの式準備の大変さがフラッシュバックして、すっかりお義母さんの好意を誤解してしまったよう。去年はほとんど自分たちで手配したり交渉したり、インドの村の披露宴はエラい大変だったのだ。
夫がさらに説明してくれたところによると、お嫁さんの衣装やメヘンディ、メイク、ヘアセットはお嫁さんの実家ですると(だよね?私の時は外国人だから実家がなかったけど)。
お義母さんが用意するのは、サンニの衣装や夫婦の指輪、親戚の乗るバスや会場設営費、炊き出しの人員と材料、お坊さんや音楽隊の費用、そして2人への贈り物(ベッド一式やメイク道具、ドレス数着)を持つ。
でも夫は長男なので、その他の細々とした手配や出費、雑用はカバーすることになる。(招待状、新郎の首飾り、ターバン、新郎新婦が首にかけ合う花輪、お菓子、お茶、お酒、親戚の食事、宿やタクシーの手配と費用など)。
あれ?
結局そこそこタイヘンじゃん!
今までも大体は最初に言ってることと結果が違う。「何も心配しないで僕に任せてればいい」と言う割には、貯金額足りなくないですかー?
でも、お義母さんの好意は素直に受けとらなきゃ。
「お義母さん、スーツ何着くれるって?」と一応、私。
夫「君には2着って。」
私「へぇー。じゃあ、お嫁さんには?」
夫「5着作るって。。あれ?何か多いねへへ。」
お義母さん、ようやく末の息子が結婚するの、相当嬉しいんだと思う。スーツの数は、きっと変わっちゃうかもだけど。笑
誰が何をいくら払うか、それも大事。でもインドでは、
楽しむことは面倒じゃなく、
楽することは悪じゃない。
らしいです。
