一年で1番日が短くなる冬至。この厳しい時節に安寧を願い、家族の健康を祝うのがクリスマスの起源という説がある。
今年も私たちにとって、北インドの冬はまだまだ厳しい。厳しい環境では、ここをどう乗り越えるかが肝心な所。
レンガと大理石で造られた部屋は外よりも底冷えし、外に面したお手洗いで、バケツお湯を沸かして入浴する前には、毎回ちょっとした恐怖を覚える。笑
どこの国でも師走は忙しいのか、市場は冬支度のために防寒衣類などを求める家族でごった返し、先週末友人はスマホをポケットから擦られる被害に遭ったそう。
通勤途中に通るショッピングモールには、クリスマス前から若者や家族連れが押し寄せるので、私たちは最初の年以来近づかない様に。
今年も私と夫のクリスマスは、冬至を無事に過ごせたことを喜ぶくらいで、あとは普段通り。スリも近付けないだろうと思われる程?ギュウギュウに混み合ったセクター19の露天市で、夫の手袋とジム用のパンツを値切り倒して購入。
ついでに夫が結婚式で着るインドの民族衣装シェルワーニーを試着して、ご満悦で写真を撮ってみた。もう結婚式まで1ヶ月半。でも一度しか着ないし、一生に一度の結婚式だとしても、変に焦って無理して後で困る方が私は避けたいところ。
屋台で焼き立てのティッキー(じゃがいものパテに、ひよこ豆、刻んだ玉ねぎ、パクチー等とヨーグルト&チリソースがかかってて美味)を食べてから、お向かいの大聖堂を訪ねた。
イギリスの植民地時代に建てられた教会、まだ23日で入口外のクリスマスグッズを売るバッタ物屋のテントは賑わってたけど、敷地内は人もまばら。
建物は新しく再建された様だったけど、祀られた古めかしい聖餐のキリスト像は、この世界の罪を一身に負った苦しみで、目を向けるのも痛々しい。
夫は一瞬ためらったけど、私は吸い寄せられるように祭壇の前に膝をついて、ありがとうございますと祈っていた。
何も特別なことはしてないし、まだまだ満足の行く暮らしではなくて、不満や不安に心が奪われそうになるけれど、
異国の地でもこうして元気で、家族になってくれた人と平和に生きられて、
手術や入院で無力な時も、ビザや婚姻手続きでテンパっていた時も、職場でやらかして落っこちた時も、2人で何とか乗り越えて、こうしてまたご挨拶に来れました。笑
顔を上げると、隣で夫が両手で床に触れながらヒンドゥー式にお祈りをして、キリスト像を見上げながら、ヒソヒソ声でビューティフルだね!僕たちはハッピーだねと言って笑ってた。
ああ、今年も山場を越えたのかな。。
ちょっとだけ、そんな気がした。
帰り道。色んなものがゴチャ混ぜに存在して住み着いているような三丁目の町外れを通ると、水牛とヤギの飼われている向こうのみすぼらしい建物に、いつになく明るい光が灯っていて、村の人たちがポツリポツリ、手にキャンドルを持ちながら吸い込まれて行った。
中を覗くと、聖歌隊が歌の準備をしているのか、並んだ何人かの笑顔が見える。童話「マッチ売りの少女」に出て来るような、夕暮れに沈む村外れに灯る一筋の温もりだった。
キリストは質素な馬小屋で産まれたと言う。インドの町外れの教会は、その情景を思い浮かばせた。
この町の人々は殆どがヒンドゥー教徒。でもこの時期、いくつかの窓辺にロウソクや星の電飾を見ることができる。夜中に、寒空の下トイレに行く帰り笑、私は家々の窓にこのクリスマス飾りを見るのが好きだ。
願い祈ることに、宗教も国境もない。
同じ祈りと、感謝の気持ちでみんな生きてること、そっと教えてくれるようで、心がじんわり温かくなるのだ。
さて前のブログで書いた私の最上級ネガティブモードも、冬至前の2、3日で収まった感じ笑。
職場では団体の主催する幼稚園のクリスマス会、募金キャンペーン等、落こんでいる暇がなくてかえって良かった。
心の中に溜まって行ってたモヤモヤ、イライラは、申し訳ないけど一旦、夫にぜーんぶ話し(ぶちまけ)て、夫も終始ポジティブ姿勢で受け止めてくれていたけど、
私も現実的に彼にはどうすることもできない事まで問い詰めてしまい、最終的に夫が本気で困って慌てる姿を見て、
あ~やっちゃったかなぁ?と。。
そこでようやく冷静になれた、という笑。
決してパワーゲームをしたいとか、イジメて泣かせてやろうとか、ストレスを八つ当たりしようなんて思ってないのに、なんじゃこれは?!ってなってた。
夫婦って。。。
私たちもまだ新米夫婦、どうやって建設的に問題解決をするのか学んでいるんだと思う。
かたや相手(夫)の頭はインド・オンリーで、私から見たら脳内お花畑。ボリウッドの駆け落ち婚の映画で見たような、ハッピーエンドしか描いていない。
ハッピーエンド。。。て、その後は。。。?
借金して田舎の村で結婚式して、あれもこれも殆ど自分たちで用意して(実家が余裕がないので)、親戚や周りに認めてもらうために、見栄張って頑張って、その後は??
今だって戦後日本みたいに電化製品も何もない暮らしなのに、結婚式の返済で何年かかる?こうやってずーと、あなたがよく知ろうともしない日本の私の貯金に頼って生きて行きたいの?違うでしょう、と笑。
しかも私たち、正式な結婚手続きも終わってるし。
本気で自分たちの力で生きていく気があって、本気でこの披露宴をやる気があるの??
。。。
て笑。
我慢してた訳じゃないけど、言って良かったと思う。夫はかなり反省してた。毎日自分のペースでインド式に生活してるのも、当たり前じゃないんだって事も、ようやく気が付いたみたい。知らないのは仕方ないので、言わなきゃならない。
いい顔ばかりしてたって、何も変わらない。困難があっても一緒に乗り越えるのが夫婦。知らないから見えないフリしてハッピーって、そんな話はない訳で。
私は細かい違和感にもすぐ気が付くし、色々と注文も多いし、年齢もかなり上だから経験上の教訓もいっぱいある。でも申し訳ないけど、この世界にも半分付き合って貰わなくちゃならない。
2人の人生
あなたの夢もそうだけど、
私の希望も叶えたいのよ笑。
無事に披露宴が開けたら、今度こそお互いに、ちゃんと約束したいと思う。