私は幼い頃集合住宅に住んでいた。

近所には、私と同じ歳頃の子供をもつ家庭が

いくつもあった。

斜め向かいのお宅もそう。

三姉妹をもつ家庭で、お父さんは手先の器用

な職人で、お母さんは色白で背が高く美人。

ごく普通の幸せな家庭に見えた。


ある時、その三姉妹が引っ越しをすると知った。

理由は親の離婚。

原因は、お父さんが病気になったから…だと。



『 筋肉が落ちていく病気なんだって 』

私は母からそれを聞いた。

私は幼かったけれど、おじちゃんがかわいそう…

そう思った。



今振り返って思うに、三姉妹のお母さんは

どういう気持ちで結婚してたんだろう?

どれくらい旦那さんを愛していたんだろう?

どんな気持ちで離婚を選んだんだろう?



その疑問の答えと思えることを

当時、私の母から聞いた言葉が

『 原因は旦那が病気になったからなんだって 』

『 そんな人とはこれから暮らしていけないから
離婚するって言ってたわ 』

『 あの奥さん、もの凄く冷たい人よ 』

私の母がそう言ってたのを聞いて

幼い私でさえ、それは酷いことだとわかった。

だってその頃のおじちゃんは病気とは思えない

ほど筋肉が落ちているように見えなかったし

普通に仕事もしていたからだ。

母の言葉じりから、要は先を見越して

元気なうちに…と離婚を決めたんだと察した。



そりゃ子供にはわからない大人の複雑な心の

動きもあったとは思う。

でも…  でも…  


私が大人になった今でも、どうにか協力して

いろんな制度を利用して、夫婦で助け合いながら

暮らせたんじゃないか?

という思いは消えない。



結婚って何なの?

結婚する時の決意って?

パートナーって何?



私は

たとえどんな事が起きても

愛する人とは生涯を共に

助け合い 分かち合い 切磋琢磨しながら

育んでいくものだと思っている。

たとえパートナーが病気になったとしても

何も変わらない。

綺麗ごとを言うつもりはないけど

それが愛っていうものでしょう?



条件ありきのパートナーなんて

本当のパートナーじゃないと思う。

都合の良いパートナーは、都合が悪くなると

パートナーではいられなくなる。



人間の本質とは…を感じ取った

幼い頃の貴重な経験を思い出しました。



白い彼岸花は珍しいそう。