性ホルモン関連性皮膚症の犬の1例 | ユナイテッド動物病院 横浜WANCOTT院のブログ

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4年前から原因不明の脱毛症で悩んでいたフレンチブルドックさんの症例報告です。

 

  症例プロフィール

 

種類:フレンチブルドッグ

年齢:7歳齢

性別:未去勢の男の子

症状:背中の2/3の被毛が脱毛していて皮膚が黒くなっている。

 

  症状の経過について

 

約4年前頃から背中の毛が脱毛し始め、少しずつ脱毛範囲が広がってしまいました。以前に通院していた病院では、血液検査や様々なサプリメントなどを用いて治療を試してきましたが、ほとんど改善が認められませんでした。脱毛の原因がわからないため、当院にご相談がありました。当院では、脱毛の原因はわからないことも多いですが、去勢手術をされていなかったことから、まずは性ホルモン関連性皮膚症を疑い去勢手術をご提案させていただきました。

 

 

  性ホルモン関連性皮膚症の概要

 

性ホルモン関連性皮膚症は、性ホルモンのバランスが崩れることにより稀に起きる皮膚疾患で、おもに中~高齢の未去勢・未避妊犬では稀に認められます。

雄では男性ホルモンのエストロジェンあるいはアンドロジェン過剰症により体幹で左右対称の脱毛や脂っぽくべたついた皮膚炎が生じることがあります。

治療は、雌ならば避妊手術、雄ならば去勢手術を実施します。

一般的に外科手術後、数か月で皮膚症状の改善がみられます。

 

  治療方針・手術

 

実は本症例では、脱毛以外にもエコー検査にて前立腺の肥大が認められていました。前立腺肥大も去勢手術をおこなうことで改善するケースがほとんどです。

そのため、①脱毛症 ②前立腺肥大の効果をを期待し、去勢手術をすることに決めました。

 

 

手術前のお写真

 

 

 

手術後のお写真

 

↑手術後1ヶ月

それから1日1日、ものすごいスピードで一気に毛が生えてきて、、、

↑手術後約1ヶ月1週間

↑手術後約1ヶ月2週間

↑手術後約2ヶ月

毛並みもパサパサで茶色の毛があった部分も真っ黒で艶々の毛に生え変わっていきました。

下の写真が直近のお写真です。

去勢手術後約2ヶ月で毛がここまで生えそろいました。

以前脱毛で悩んでいたとは思えないくらい、ふさふさの毛並みです。

この子と同じように原因不明の脱毛症で悩んでおられる方はたくさんいると思います。

もし、去勢手術や避妊手術を実施していないワンちゃんであれば、性ホルモン関連性の皮膚疾患の可能性もあります。お悩みの方は、まずは当院の獣医師にご相談ください。

今回、経過をお知らせいただき画像データなどをご提供いただいたご家族様に心より感謝申し上げます。

 

 

 

 

【ご家族の方のメッセージ】 

 

先生方には大変お世話になりました。 今後うちの子と症状が同じような子がいたときのためにご連絡させていただきました!背中の3分の2は脱毛して肌が剥き出しになって、色素沈着から黒ずんでもいましたが去勢して1ヶ月経った頃からうっすらと黒い毛が生えてきました!それから1日1日、ものすごいスピードでいっきに毛が生えてきて、更に色も黒くなりました。毛並みもパサパサで茶色の毛があった部分も今は真っ黒で艶々の毛に生え変わっています。3年以上脱毛していたので諦め半分でしたが、まさかの結果に驚いています。いろんな検査や病院も回っても改善されませんでしたが、最後の頼みの綱だった性ホルモンにやはり原因があったようです。いい結果になってほんとに嬉しく思っています。去勢をすすめていただいたこと、手術を成功していただいたことに家族、友達、本当にみんなが喜んで感謝しています。フレブルの脱毛は珍しいケースだと思いますが同じような子がいたときに一例としてぜひ教えてあげてください。この度は本当にありがとうございました。