主人公・鈴木拓也は、都会の総合商社でキャリアを重ね、順風満帆な人生を送っていた。
しかし、その生活は、大学時代の親友である佐藤からの一本の電話で変わり始める。
佐藤は不動産投資の話を持ちかけてきた。ワンルームマンションをいくつか購入し、賃貸に出せば、手堅い収入が見込めるというのだ。最初は躊躇していた拓也だが、佐藤の熱心な説得と、表面上の数字の良さに魅了され、投資を決意する。
拓也は、自分の貯金をはたいてまずは三戸のマンションを購入。最初の数ヶ月は順調で、賃料収入も安定していた。この成功に気を良くした拓也は、さらに数戸を購入するが、ここで運命の歯車が狂い始める。
市場の冷え込みと、予想外の修繕費用の増加により、収入は急速に減少。さらには、入居者からのクレームが絶えず、管理の手間も増大していく。拓也の借入金の返済が滞り始め、金融機関からのプレッシャーも増す中、彼の精神的な負担は限界に達していた。
恋人の絵里は最初は支えてくれていたが、次第に拓也の変わり果てた姿に耐えられなくなり、彼を去っていく。友人たちも次第に距離を置くようになり、拓也は孤独と絶望の中で苦しんだ。
最終的に、拓也は自己破産を申請。かつての輝かしいキャリア、恋人、友人、そして自尊心をすべて失った彼は、自らの決断とその結果に直面しながら、これからの人生をどう生きるべきかを考え始める。