応募した会社からの返事はまだない。


来月からはかなり厳しい生活になりそうだ。と、景子は一人思う。

今まで二人の給料でなんとかやってきていたが、それが一人分になるとはかなり厳しい状況。

しかも、普通の夫婦のように旦那様の稼ぎを当てにはできないのだ。

博之の稼ぎは手取り15万ほど。新潟での物価を考えても二人分には程遠い。

だが、今月はそれで乗り切らねばならない。

自分の仕事が決まらないせいなのだが、半分夫の稼ぎのせいにしてしまう。


「来月からはあなたの給料で生活するのよ。今後、赤ちゃんでもできたら私は働けないのだし、そうすると私の稼ぎはゼロでやっていかなきゃダメなんだから。」と、先月早速買った結婚一年生という本丸出しのセリフを伝えても

「それは無理なんだから貯金を崩して生活するしかないだろう。」といとも簡単に言う。

貯金なんて底なしじゃないんだからおまえも協力しろ!と、言いたくなる。

毎週飲み会になんて出掛けて、全然危機感がない。


お金をかけないために、最近は専ら休みの日は二人でブライダルフェアデートだ。

ホテルで仕事をした景子にとって、ブライダルフェアというのはなんとも面倒なものだった。

だが、自分が行くとなると話が違うのだ。

なんといっても無料で美味しいご飯が食べられる。

式場を決めなければいけないという名目でブライダルフェアに参加する。

丁重なおもてなしとともに、最後はお土産まで頂けるのである。

5件目ともなると博之まで

「ここの式場は試食させてくれないんだな。」なんてごちる。


本当に危機感があるのかないのか。

そろそろ本当に決めていかなければならないというのに。