
リオ・オリンピックで、日本は過去最多のメダルを獲得した。中でも、金メダル12個の感動は大きかった。それなのに私のアタマには、こんな文字が浮かんできた。「假黄金」 中国語で、仮の黄金。日本語に訳すと「イミテイションゴールド」ということになる。それは、写真のレコジャケ、山口百恵18枚目のシングルのタイトルなのだ。中国語でそう書くと、最近教わったものだから、つい浮かんでしまったのである。39年前の、やはり暑い夏の日だった。京都の鴨川べりで初めてこの曲を聴いた私は、山口百恵という同世代の歌手に激しく嫉妬した。まだ学生で、まだ幼くて、先も何も見えなくて、まだ夢の入り口にも立っていない自分との違いに、気づいた焦りだったのだろう。それくらいに、この歌は大人びていた。♪声が違う 歳が違う 夢が違う ほくろが違う ごめんね、去年の人とまた比べている♪ 本物と、イミテイションの違いって、何だろう? その違いって、人間にもあるのだろうか? そんなことを初めて真剣に考えさせられたのが、この曲だった。そして、それを淡々と歌える山口百恵の本物ぶりに、嫉妬した。今聴いても、あの夏が甦る。♪西陽の強い部屋の片隅 彼が冷蔵庫バタンと閉じる・・♪ 歌謡曲とはいえ、歌詞に 冷蔵庫という単語が出てくる曲は少ない。青春の熱気と冷気を同時に知った、1977年のそれは夏のこと。

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