あしたを夢見ることができた、ジョーと生きた時代。 | 宮脇 流の「昭和を話そう」 ( BOSSのブログ)

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70年代や、あの時代に輝いていたアレやコレや。
クリエイティブディレクターが語る、「思い出のエッセイ」です。

あしたのジョー

東京の練馬区立美術館で「あしたのジョー、の時代展」をやっていた。会場内には宿命のライバル、力石徹の葬儀までが再現されていて、私にとっては特に感涙ものだった。写真はその時の冊子とポストカードである。1968年、「あしたのジョー」は週刊少年マガジンに連載され、70年よりアニメがフジテレビ系で放送開始。少年マガジンを読み、テレビにかじりつき、そして「あしたのためのその1、その2」をこっそり真似ていた少年の日を思い出す。シロクロ放送だったテレビがカラーに変わり始めた頃、寺山修司作詞の主題歌を歌いながら、あしたへの希望に燃えていた。確かにあの頃は、あしたへの夢を見ることが美しかった。矢吹丈という名前を耳にしただけで、今でもなぜか武者震いのようなゾクゾク感を憶えるのは私だけではないだろう。ドヤ街の片隅から世界へと一歩ずつ駆け上がる・・そんな物語が単なる絵空ごとではないと思えた時代だったのだ。ドヤ街、そう言えばドヤはヤドの逆。宿とは呼べないくらいの所を「ドヤ」と呼ぶと、あの頃誰かに教わった。それはまさに、反逆の表現。あしたという日への輝かしいリベンジの象徴だったに違いない。あしたという日を、美しいと感じることのできる人は、今どれくらいいるのだろうか。

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