25(月) 午前 (試験初日)


昨日、3日前に時計が止まっていたのに気付き、
今日は少し早く家を出て、
100円均一で時計を買って学校に行くのでした。


それで、某有名100円均一店に来ているのですが、
う~ん困ったなー・・。

いやー100均なので、
てっきり、100円で売ってると思っていたのですが・・
なんか、420円もします。

100円のもあるんですけど、それだと、

ベルトの部分だけなんですよねー・・。

むしろ、ベルト以外の部分を100円で売ってほしいのだが・・・。


まあ、420円くらい別にいいんですけど、
試験が終った後、二度と使わなそうなんですよね・・。

電池さえ換えれば今の時計のほうが全然いいですし・・。


別に時計いらんやろ

えっ、いや絶対いるやろ、なに言ってんねんお前は。

ホントにそうかな?オレはいらんけど

あのなー、
試験ていうのはさー、半年間教えてもらった先生に対して、
ありがとうございました!おれは賢くなりました!
ていう感謝の気持ちを表す時でもあるわけ。

1点でも多く取らないとダメやねん。

もしかしてお前、時計を持っていかないのを
自信の表れだとか、カッコイイとか思ってるわけ?

お前さー100点とれるわけ?
無理やろ?それなのに、時計を持っていかないなんて、

そんなもんは驕り(おごり)以外のなんでもない!!
己惚れるな!バカちんが!!




言ってくれるなー、しかしオレをあんまり
なめるなよ、小僧!!
試験では1点でも多く取る。そんなのは基本や。
だけど、おまえはさー、
試験ならば時計が必要、試験⇒時計、試験=時計
みたいになってる。


何?・・よくわからんが、とりあえず時計は必要やろ。
何が言いたいねん?

いい点を取るのに時計は必要ないって事。
むしろ、いい点を取ろうと思うなら時計は持っていくな!



はぁ!?どうゆうこと?何言ってんの?
あれか、時間を気にしすぎて反って焦るってことか?
だからいっそ時計を持っていくなってことか?

固いなー・・おまえの頭はダイヤモンドか?
オレはすでにある事を閃(ひらめ)いてん。
つべこべ言わず、ここはオレに任せろ。


えっ?何を閃いたの?
まさか何らかの不正行為・・。

バカヤロ。
そんなことするくらいなら、単位落とす方がいい。
むしろ、これでもかってくらい真正直


・・・わかった。何か閃いたんなら、お前に任せる。
信じていいんだな・・。

コクリ。教授も納得するはず・・。











この日の試験、おれ等はオレの閃きにより、
無事に全力を出し切る。

天才というのは、
とっさの気転によりトラブルを解決できるものである。

が、時として 気転が利くことが
思わぬ禍(わざわい)をもたらすことも事実・・。



26(火) 午後 (試験二日目)


さて、多少の余裕を持って学校に着く。

「あれ?田仲君 時計持って来てないの?」
「あっ、うん・・。」
「忘れたの?大丈夫なの?」
「大丈夫。体が90分を覚えてるから。笑」

適当に誤魔化し周囲に気付かれないようにする。


さて今日も時計なしでの試験が始まるわけだが、
確かにこれはいいよ。お前はやっぱり賢いよ。

やろっ。
今日も全力でいくべ!!


おう!!

問題が配られ、試験が開始する。

教授 「時間なので、始めてください」

皆一斉に解答し始める。

年に数回の試験を受けているわけだが、
勉強の成果を試すというのは悪くない気分である。
たまには他人から評価されるのもいいもんだ。

教授が学生証の確認を一人ずつ行っている。
おれ等の所にもやってきた。

勿論、おれ等は不正行為などは一切していないが、
やや、教授が戸惑いを見せる。

「ふっ・・まーいいか。」
と言って通り過ぎていく。

ホッ、良かった。
変につっこまれると、少々恥ずかしいのでね。

実はおれ等は今、この試験と言う厳格かつ公正な場で、
おそらくただ一人、時計を使わずに



キッチンタイマーを使っている。

そうなのである、試験に必要なのは、
時刻を知ることではない、時間を知ることなのである。

その点に気付けば今回の解決は容易。

100均で時間の概念のあるもの、すなわち
キッチンタイマーを買ったのである。

時間を計るだけなら、むしろ時計より断然便利なのである。



試験も終わりに近づき、
まあまあの出来に納得し終わりを待つ。

よし、無事に出来た。
そろそろ終わりやな


おしっ、この調子で明日からもいくべ。





何だ!?電子音!?











ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ



お、おいっ、キッチンタイマーが鳴ってる!?

バカッ早く止めろ!


なんで??昨日は鳴らなかったはず・・・はっ!?


ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピッ

明らかに時計の音とは違う、
警告音が静まり返っている教室に鳴り響いた・・。


皆にバレた。
独りだけキッチンタイマーを使っていたことがバレた。

おいっ、なんで鳴ってん?
昨日は鳴らんかったやん!


す、すまん・・・。

実はあまりにもコイツを時計みたく使ってたから、
本来のキッチンタイマーとしての機能を完全に忘れて、
今日は昨日と違って試験開始時に、
90分のカウントダウンを始めてしまって・・。昨日はカウントアップしてた

まさかカウントダウンを終えると同時に鳴るなんて・・・。

バカヤロ!コイツは本来そういう奴やねん。
それがコイツの真骨頂やねん!
ハァ~もう何やってんねん・・・。



教授 「じゃあ、終わりみたいなんで集めましょうか。笑」

学校のチャイムでなく、
おれ等のタイマー音で終了を知らせてしまった。


「なんだ、ちゃんと持ってきてたんだねー、キッチンタイマー。笑」

「ははっ、実はそうなんだよ・・・。」


己の存在が消えてなくなればいいのに・・・。




PS

明日からの試験、僕らは砂時計を使おうと思う。
静かに、そっと落ちていく砂に、
3分ごとに気を配りながら・・・。