4月の土曜日
社会人になった3号は死んだように眠りこけ、夕方になってからふらっと出かけて行った。不機嫌。
昨夜帰還した2号は歯医者に行った後スーツとコートを購入。その後やはりベッドに直行。
若者たちはお疲れ。

オットはまたヤクルトが負けたのでため息をつく。
神宮球場の建て替えの前にもう一度行きたい。前回は村上塩見長岡のホームランを見られた。今シーズン、塩見は打ったね。村上もそろそろ打ってね…

桜桜と思っているうちに、街も山も桜になっている。雨ばかりだけど春が来ている。
伯母が週単位と言われて、二週間が過ぎた。在宅で看ている従兄からはメールの連絡なので、しょっちゅうスマホを確認してしまう。
待っている訳ではないのに。
東北の従姉妹は笹かまを送った。伯母が食べられたかどうか気にしていた。
先週お見舞いに行った時は淡い色のアレンジメントを持って行った。2月のお誕生日の時は花を喜んでくれた伯母は、もうそれほど興味がない様子だった。
でも、私の帽子を見てかわいいと言った。かぶってみてというのでかぶったら、似合うと微笑んだ。昔からきれいなもの、身につけるものが好きな人で、母の姉妹の中でも一番女性的だった。
うちの母は日に焼けてそばかすが増えて、ネコと遊んで手が傷だらけ。そんな母をたしなめていたのがこの伯母だった。
伯父がクリスチャンの家で育ったので、この伯母だけはウエディングドレスで結婚した。写真のスレンダーなドレス姿は百合を手に美しかった。

結婚後、伯父は双極性障害となり、調子が良いと仕事に没頭し、悪いと有給をすべて消費して寝込んだ。伯母は毎晩刃物を隠して眠った。

伯父の没後、彼女は伯父の話をしない。いつもまったく話題に出さない。

今は存在しなかったかのように、誰も伯父の話をしない。
伯母が去ったらこの家族は終わる。
そして母が育った5人家族もそっと終わる。出版社勤務を経て教師となった祖父と祖母、一男四女の若草物語みたいな家族。最近、祖父の名前を探したら、ネットで著作を見つけた。戦前の日本の植民地政策的な地理の本。
まだ古本屋さんに置かれていることに驚いた。

息をひそめるようにメールを確認する私は変だ。

私の片方のルーツが、閉じていく。私が子どもだった時を知っている人がもうすぐいなくなるんだね。


2号が起きてきてご飯を食べている。頭痛らしくてロキソニンを渡す。
3号が帰宅。出かけて行った時とは違って憑き物が落ちたかのように普通。
私も私の家族を続ける。繋ぐ。

今日2号が購入したコートは、3号が昨日着ていたものと同じ。知らずに選んでいたけどお揃い。

2人とも大変だけどがんばってね♡