転貸の落とし穴 | テナントリーシングのユニオンディアス

転貸の落とし穴

先日のこの日のブログで、転貸物件の落とし穴についてさわりだけ書きました。

PCの調子も前よりちょっとだけ良くなってきたので、続きを書きます。

この話しは私が体験した実話に基づきますが、各方面に迷惑がかからないように多少の脚色をしています。
また、法務関係者、宅建保持者、宅建受験生にとっては当たり前のことですが、その「当たり前」を知らずに契約してしまう賃借人がすごく多い現実があります。

私がかつて所属していたB社での話しです。

A社から転貸を受けていた店舗の原契約の満了が近づいて来ました。

原契約は賃貸人(C信託銀行)

原契約賃借人(転貸契約転貸人)(A社)

転借人(B社)

と3社が登場人物になります。

■原契約満了に際し、A社とC信託銀行は契約の満了をもって更新はしない。という合意をしました。

■予告期間、6ヶ月前にA社より転貸契約も満了をもって更新はしないとの通知を受ける。

重要:転貸借契約は原契約の賃貸人と賃借人が期間満了または解約申し入れに寄って終了した場合は転貸借契約も終了してしまうのです。

これが、原契約の賃貸人と賃借人が「解除」で終了したのであっても転借人の権利は守られません。転貸契約も解除になります。

反面、「合意解除」であれば、転貸人と転借人の転貸借契約は終了しないのです。

なので、どういう経緯で原契約が終了するのかが争点になったのです。

確認した結果、期間満了による合意解約であるため対抗手段が取れません。

とりあえず、内容証明郵便で「納得がいかない」「契約継続につき再検討頂きたい」旨、A社に送ることはしました。無論、会社の名義で出すことなので社長の許可を受けています。

そして、A社の契約満了による解約の本音を担当者と膝をつきあわせて聞き出しました。

その理由とは・・・「A社の子会社の別事業の為に建物を使用したい。」「転借人のC社には原契約満了を期に出て行ってもらいたい」ということが本音と判明したのでした。

法的には通る話しです。
怒りにまかせて感情論にすることはできません。とりあえず継続交渉をもっておきます。

そして、原契約の賃貸人C信託銀行へ原契約の満了解約をするのなら、その後にうちの会社B社と契約しないか?とダメもとの打診をします。C信託銀行とは取引が多いので、もしや?の思いもあったのです。

しかし、担当者は「転貸借契約に関わることは転貸人のA社と話し合って欲しい、うちは関係ありませんし、おたくB社と契約する意志はない!」とスパッと断られてしまいました。

結局、会社と会社の今後の取引もあるので、転貸人A社の専務がうちの会社 B社の社長へ直接交渉に来たのです。そうなると、担当者の私にも静観するしかありません。

結論は・・・契約満了を持って解約することに合意という内容でした。

しかし、ここはトップ会談だけに、タダでというわけではありません。半年後にそのメリットはやってくるのですが、これはまた別の話です。

大変重要なことです。

◎転貸物件は原契約の期間満了または解約申し入れが合った場合、転借人は対抗できず、転貸借契約も終了してしまうのです。

普通の借家契約のように借家人が保護されていると思っている方が意外にも多いので気を付けないといけない契約なのです。