最近あちこちで生保の不適切な利用が問題視されていますが、いったいその影響がどのような形で我々に及ぶか、考えたことはありますでしょうか?
実は、ものすごく身近なところで、我々の生活に影響を与えているのです。
今回は、生保の不適切な利用が我々に与える悪影響の一例を紹介しましょう。


 まず、
生保の医療費が無料
だというのが、今回の話における重要なポイントです。生保の医療費が無料とはいっても、タテマエ上は適切な医療を啓発しなきゃいけないので、担当医に医療券で治療を必要とする旨の所見を書いてもらい、それを福祉事務所に提出する形をとっています。

 ところが、
医療現場のホンネとして
「生保の患者なら診療報酬がまるっと入る」
というのがあるから、無意味にCTやってみたり、必要以上に病名つけて投薬したり…というのが当たり前になってしまっている
というのが現状なんですよね。

 ちなみに、僕が知っている中で最悪級なのは
毎週の投薬がA4封筒がパンパンになるような生保の患者

こんなの、普通に考えたら、レセプト上でとんでもないことになりますよ。レセプト上での病名が脳梗塞・高血圧・高脂血症・糖尿病・胃潰瘍・痛風・不眠症・肝炎…とズラズラ並んでるワケだから、普通に
「これ、いつ死んでもおかしくないやろ」
「何でこんなにも病名並んでるヤツが生きてるんや?」
ってなってしまうはずですよ。でもって、これだけ病名の並んでる当の本人はピンピンしてるという…


こんなバカな例が大阪市住之江区で実際にあったんですよね。これは極端だとしても、医療現場のホンネを考えたら、生保の患者に対する過剰医療は山ほどあるんですよ。


 これが生保の患者の医療がハチャメチャであることの実例です。では、これが我々にどんな形で跳ね返るかを紹介します。


 この話は意外に思うかも知れないのですが、
生保の患者のレセプト提出先(=生保の患者の医療費負担を担当する役所機関)は、実は生保の患者の居住する地方自治体ではなく、国民けんぽ
なんですよ。まあわかりやすく言えば、生保の患者の医療費は社会保険から捻出されている、ということ。

 そうなれば話はわかりやすいもので、
医療現場のホンネの具現化の中でムダに増えた生保の患者の医療費が社会保険の財源を圧迫した一面もある
って話になるんですよ。これが我々に悪影響を及ぼす構図なんですよね。


 その結果は
サラリーマンに保険料値上げ、医療費自己負担割合増加の二重値上げという形で理不尽な負担増が襲ってくる
ということ。この構図を考えたら、生保の不適切利用が許される話ではないことが実感としてわかるはず。


 なのに、誰もそこまで因果関係を伝えないっていうのが、世の中そのものの問題になっているんですよね。そこが歯がゆいところです。