小さいころからメロンを食べると耳の穴が痒くなる。
喉も変だけど耳の奥がムズムズ。
でもそういうものだと思ってた気にしなかった。
だから親にも言わなかった。
みんなメロンを食べると耳がムズムズしてるんだと思ってたから。
また私はメロンもたいして好きではないけど、まわりはみんなメロンが好きなので、
メロンをあげるというと 「え？ホント？？いいの？？？」と、
喜んで物々交換を提案してくれるので、難なく好物が増える。
メロンわるくないと思うのであった。
高校の時、何の話か初めて友達にメロンムズムズ論を披露したら、
「え？それってアレルギーだって」と教えられ、自分ってアレルギーなんだ？！と衝撃だった。
体育の時間体調が悪く見学してる子を見ると、か弱そう＝女の子 とイメージし羨ましかった。
眼鏡をしている子に、頭よさそう！と憧れた。
そんな憧れを持つほど健康なこの体、アレルギーなんて無縁だと思ってたから。
そしてそれからは日常にメロンがあると序章のごとく
「わたし、アレルギーなんで…」と使うようになる。
そして働きだすころにはそれがラテックスアレルギーだということ分かって、
突然手術することになったら、うわ言でも伝えねばと初めて危機感を持った。
ある日キウイにも反応。
キウイか…まあまあ好きなんだよね。
でも食べなきゃいいやと耳の奥をムズムズさせながら思う。
しかしその日は突然やってきた。
残業し帰宅中、閉店間際のお店でアボカドとエビのサラダ（200ｇ）を買って帰った。
アボカドもエビも大好き
200ｇも食べられるのに半額なんてサイコー
残業で頑張った自分をビールとサラダで労う
そして1時間たったころだろうか、
なんだか気持ち悪くとなったら吐き気がして、おなかもゴロゴロとなりトイレに駆け込む。
苦しくて起きていられず床に転がってはトイレに駆け込む、を繰り返す。
冷汗が尋常じゃなく出始めて、脂汗とはこういうことか、と思いつつ、
今まで特に病気もなくきたこのけど、とうとうだめかと半ば諦め、
救急車ってこの痛みで呼んでいいものか悩み、
この体もとうとう焼きが回ったなら入ってる保険を見直すべきかと
苦痛に悶えながら保険の資料を眺める自分に、意外に前向きだなと感心したりして、
出るものも出つくした深夜2時頃、ようやく痛みは去っていった。
あれは辛かったなー。なんだったんだろ？と出社したら、隣の部署の物知りさんに出会ったので
昨日のことを話すと、それって食中毒かアレルギーなんじゃないの？と言われた。
真夏に半額の見切り品を買ったので、食中毒か、ありえるな。と納得した。
私はアボカドが大好きなのだ。
だからアレルギーとは認めたくなかった。
でもそれをきっかけに、アボカドを食べるとてき面、反応するようになった。
居酒屋のサラダの小さな角切りのアボカドを気づかないふりして食べれば、
すぐさまムズムズと一緒に、口にできものが出て腫れたりした。
あぁ。これは本気でダメなヤツなのでは？と思い始めた。
ある日、決めた。
スーパーでアボカドを一個買い、薄くスライスしてわさび醤油でいただこう。
今宵の酒のあてはアボカドのお刺身。
アレルギーを気合で治すのだ！！
・・・・・・・
そして１時間後この上なく後悔し、アボカドアレルギーを認めた。
友達には、アレルギーを気合で治すとかまさに昭和～～
とバカにされ、
アレルギーでも死んじゃうことがあるんだからそんなことはもうやめてね、と
そのころもう30をとうに超えていた私に、24歳の子が教えてくれた。
ありがとう、24歳の子。
そんなわけで、初めての人間ドックの前に耳鼻科でもらったアレルギー検査に納得し、
もしや出ないのではと期待していたあほな自分を捨てさり、アボカドとはさよならだ。
最近はパイナップル食べると腹痛がでるし、果物で反応出るの多くなってきた。
ゴム製品は今のところ何も反応していないが、アナフィラキーショック起こさないよう、
ラテックスアレルギーです！と、首から札をさげとこうかなと思う日々。
小学生のころ体育の時間見学した子は辛いこともたくさんあっただろうに、
羨ましいなんて思ったことを反省した。
眼鏡の子に憧れたけど、今はすっかり眼鏡なので、憧れてごめんなさい。
ちなみに天然パーマにも憧れていたので、この場をお借りしてお詫び申し上げます。
好きだけどさよなら。
