ハンドメイド3年目。

2016年の11月からメバル専用のハンドメイドルアーを作り始めまして、3シーズン目になりました。作ろうと思ったのは、もう少し前で、ベイスラックのようなS字系の小型ルアーを作ろうと思ったのがきっかけで、結局のところpocketsダートという市販のものがあるのを知って、やめました。ところが、そのpocketsダートでメバルは1本しか釣ったことがなく、しかもフォールで釣れたので、その動きに効果があったのかは未知数。そのかわりと言ってはなんですが、シーバス刑事は運河のシーバスをしこたま釣りました。

ルアー開発ってのは、大変な作業だなと自分で作り始めて、心の底から思います。とある関西のシーバスルアーのブランドさんの2016年のカタログに制作秘話が載っていて熟読しました。とにかく製品化するまでに時間がかかるということでした。でも、これはちゃんと作ってるメーカーさんなんですね。わたくしは、このメーカーさんのルアーのネーミングがあまり好きではないので、ほとんど使わないのですが、シーバスマンにはことのほか人気があり、いいものを作っているのがよくわかるし、開発してる人にはとても好感を抱いております。(ならば、買って使えよって話なのですが、わたくしはあくまでもメバリスト。)

そんなこんなで、メバル用のプラグを2年以上買っていません。ジグヘッドとワームも1年くらい買ってません。お勉強のためにも買ったほうがいいとは思いますが、週一で通っている三浦半島のとある漁港のメバルの生態については、誰よりも知っているという中途半端な自負があり、作るルアーも、その限定されたポイントでデカいメバルを釣るために作っているため、市販品を買う気にならないのです。ただ、作っているからこそ、その市販品の良さや使い方を、ただ投げて巻いている方々よりは、作り手に近い感覚で理解できているのかなとも。

ちょっと名前を挙げてしまいますが、コーモランのシャローマジックというルアー。釣友が伊豆の漁港で良型メバルを連発していて、わたくしも買ってみたのですが、まったく泳いでるようには見えないし、ネンブツダイしか釣れないし、とんでもねえクソルアーだと思っておりました。ところが、今ではあのルアーの良さがすごくわかります。小さいながらも飛距離が出せて、あの微妙に泳がない加減がメバルには絶妙だということをのちに理解したわけです。メバルのいないところに投げて、自分の技術を棚上げしていたことを非常に恥ずかしく思うわけです。

そして、もう一つがメバカーム。このルアーは非常に大好きなルアーでありますが、メバルよりもシーバスをたくさん釣りあげています。メバルに対しては、フロントフックとリアフックの間にバイトしてくるような印象で、バイトはしても乗ってこないと思っていましたが、あのルアーに関しては、バチ抜けの時期を想定し、リアフックに食わせることがキモだということも、ルアーを作ってみて理解するのです。

ルアー製作1年生で、結構な成績を残しました。最大は28cmで、25cm以上も数本とすべて同じタイプのもので、耐久性に問題があったため、その強化をはかり、2年目は少し構造を変え、大量生産しました。結果はというと、惨敗です。最初のシーズンは数え切れないほどのメバルを釣っていたのに、次のシーズンは1本だけでした。泳ぎに違いは見られないだけに、単純にその年の捕食対象に変化があったのか、はたまた少しの構造の変化でメバルの機嫌を損ねたのかはわかりません。ひょっとして今シーズンは釣れるのかもと、淡い期待がないこともないのですが。。。

2年目は2年目で、絶対的エースが現れました。1年目にも作って、それなりの結果を出していたものですが、1年目のエースがあまりにも結果を出しすぎていて、その存在が薄れていました。こちらも2年目に耐久性の強化を図りました。ただ、難しい形態のため、泳ぎの個体差が激しいというハンドメイドならではの問題もあります。さて、今シーズンは結果が残せるのか、期待と不安がいりまじりながら、今年の分を作っています。




3年目の今シーズン、2年目にシーバスのプロアングラーさんからのアドバイスにより、さらに耐久性を高めた作り方をしているため、非常に時間がかかってます。工程でいうと5倍くらい時間がかかってます。とはいえ、メバル用なので、シーバス用ほどの耐久性は必要ないのですが、一応、スポンサーになっていますので、自分以外の方が使うことも考えてのことです。

先述した、とある関西のシーバスブランドさん、開発で8年も要したルアーがあるそうです。2シーズンだけでも、釣れる釣れないがハッキリしてしまったわたくし、仕事で作ってたら倒産です。趣味の範疇のハンドメイドだから許されるわけで、多分、仕事にした瞬間に楽しくなくなるのは見えていますので、スタンスは今までどおり、釣り雑誌を作りながら、趣味の釣りをハンドメイドで楽しむことに。

今から17年前くらい、その当時は仕事が今の3倍くらい忙しく、それでも休めれば山岳渓流のフライフィッシングでイワナを狙っていて、その当時もフライ雑誌の仕事をしていて、釣りに行けないことを理由に、巻いたフライを編集者に渡して、取材で試して!みたいなところから始まり、いっときメディアアングラー的なことをしていました。釣りの取材に託けて、家族や社員、そして別の雑誌の編集者など周りの人達を納得させては、2ヶ月に一回の取材釣行です。テーマによってはアングラーというよりはフライタイヤー的な取材があり、自分で考案したフライを、当日現場でのプロセスの撮影もさることながら、実釣する予備として、5パターンを5セット用意してこいというお達しがあり、死にそうになりながらフライを巻いたのを覚えています。パターンが決まっていれば、一つ巻くのに2分くらいですが、考えながら巻くので、それなりに時間がかかり、状況も平日休んで福島まで行くために、ファッション誌を徹夜続きで校了し、校了したと思ったら、徹夜でフライを巻く宿題をいただいちゃったもんだから、この時、初めて思いました。釣りは趣味でいいのだ、と。趣味で行く釣りのために徹夜は楽しいだけですが、仕事にした瞬間から苦痛に変わるのです。それが仕事というものです。百歩譲って、釣り雑誌の編集の仕事です。忙しいときに魚の写真や風景の写真は癒されます。メバルではなく、ちょっと付かず離れずのテーマがちょうどいい感じです。テクニック的にもメバルに通じるものもありますし。

話をハンドメイドに戻します。メバル用にこんなルアーはないんだろうなという発想から始まったのですが、最初は先述したとおり、pocketsダートから始まって、その2年後の2016年11月、結局作り始めたのはシーズン的にも、極小のナミノハナがベイトなんじゃないかと思い始めたのがきっかけでした。ナツメ型オモリをハンマーで叩いて極小メタルジグを作ることから始まり、今度はバルサでリップレスミノーが30mmから25mmに落ち着き、これが結構結果が出て、年が明けたら今度はバチ抜けです。夏が近づけば、バチ抜けとコイカが複合ハッチ?!    いや、ハッチじゃありませんね、羽化するわけないので、そう、わたくしがやってることはフライのタイイングとまったく同じなのです。シーズナルなものを作りたいだけ。釣り方もとてもフライに似ていて、ナチュラルドリフト、またはスイングからのターンなど、いかに流れに同調させながらプレゼンテーションするかを考えたりすることが多いのです。結局のところ、それができればルアーなんか、なんでもいいとさえ、思ってもいます。これを言っちゃあお終いなんですが。。。


1月21日    じょに太郎拝。