【思わず「別にええけど…(関西弁)」と心の中でつぶやいてしまうシチュエーションベスト3】


①自分のブログを家族が見ているとわかった時。

②別れたばかりの彼女に彼氏ができたという情報が入ってきた時。

③ハンバーグを食べさせたくて「さわやか」に連れて行ったのにハンバーグを頼まなかった時。



①心の中がなかなかどうしてモヤモヤムラムラとしてバツが悪い、
関西人でもないのに関西丸出しなフレーズを口から思わず吐いてしまう、あるいは心の中でぼそーっとつぶやいてしまう瞬間ってありませんか?


それはどんな状況ですか?

そうですね、僕はこのブログを親族に見られているとわかった時ですかね。

思わず、
「別にええけど…」と心の中でつぶやいてしまいました。

バンドのブログというのは遡ってみれば結構思い切ったことを書いてたりするわけですよ。
若気の至りもあれば、深夜のテンション、そしてアルコールのテンションといろいろな危ないものの力を少しお借りして、
上記のような(だからしょうがないだろ)的なテンションに任せて「えいやー」と言葉を投下するのです。
それは、言うなれば衣をつける前の生卵でどぅるどぅるになったカツのような、あるいは職人さんが金箔を貼り付ける前の金閣寺のような、あられもない姿をした言葉たち。

それを、赤の他人ではなく、親族という、プライベートな話をするのが逆に気恥ずかしい身内に見られるというのは、
小さい頃にはお風呂に入れてもらってたのに、「最近はもう立派になって…」的なお恥ずかしさ満点のシチュエーションが容易に想像できるわけで。

かといって、
思春期の少年が自分の部屋を片付けようとする母親に、
「あまりジロジロ見ないで!」
という具合の、ハッキリとした拒否を示すのは違う気がするのです。

だって、そのあられもない言葉たちは親族のみならずインターネットという広い海に放たれていくわけで、
「いや、ネットにあげてるんだからいいでしょ」って言われて仕舞えばぐーのねも出ないわけであり、
それゆえに
「いや、別にええけど」
となかなか悶々とした気持ちを抱えたまま生きていかなければならない。

「別にダメじゃない、けど、手放しに了承は致しかねる」
これが、この「ええけど」の意味である。




②付き合っているパートナーとお別れをする。
これには、喧嘩、のっぴきならない事情、環境、などなどいろいろな要因が考えられる。
喧嘩で別れようが、しょうがない事情があろうが別れたことには変わりない。
しかし大事なのはそこじゃない。

別れた後だ。
みんな、こんな経験はないだろうか?

大抵の場合は別れた後、
ステディな関係だった女子あるいは男子とはあまり連絡を取らなくなる。
付き合っていた時はあれほど毎日のようにメールや電話、ラインをしていたのにも関わらずだ。
ツイッターのタイムラインにも現れなくなったなぁ…とか思っていたらブロックされていた。
なんてことはよくある話。

まぁこの時点でもうすでにもやもやポイントを迎えているわけだが、まだ早い。
別れてから1週間が経ち、元パートナーのこともすっかり忘れる瞬間が多くなってきた頃、事件は起きる。

突如として、元パートナーがタイムライン上に現れるのである。

つぶやいたから?ダイレクトメッセージが来たから?違う。

リツイートで幸せそうに写っている写真がまわってきたからである。

すっかり元気そうにしている時点で、
あらまぁ随分元気そうにしているわねとディズニーのヴィランズのような笑顔で思うわけだが、問題はそこじゃない、

そこじゃないんだ。

一緒に写っているそいつは誰なんだ!

といまなら自分の顔を福本伸行先生のタッチで描けるのではないかと思うほどカイジ感あふれる瞬間が訪れる。

と、同時に、菩薩にでもなったかのような広~い心で、「無」の境地を迎え入れるのである。

もう、わかったよ、すべてを察したよ。

すべてを受け入れるよ。



いや、別にいまは付き合ってるわけじゃないから報告とかいらんし。
別に誰と付き合おうが、いつ付き合おうが構わんし。

けど、なんか、モヤモヤする。



うん。別にええけど、、、


これが第二の瞬間である。




③全国各地に名産と呼ばれる食べ物や、ご当地と呼ばれる料理がある。
例えば北海道は海鮮、仙台は牛タン、大阪は粉もん、福岡はとんこつラーメン。とか。
まぁあげたらキリがないんだけど。

ツアーで全国各地を回っていると、
あぁあれが美味しかったなぁとか、あれはちょっと苦手だったなぁとか良くも悪くもそれらが恋しくなることがよくある。

例えば伊那のローメン。あれは、そんなに好きじゃないけどでもなんかあれを食べないとダメな気がするよ。
とか。

そんなありがたくも全国各地でいろいろな食べ物を食べさせていただいてるおかげで、ご当地料理には少し詳しくなった。

そんな、全国各地のご当地料理のなかでも1、2を争う上位に来るのが静岡県の「さわやか」である。

さわやかとはなんぞや?と知らない人は思うかもしれないけど、
さわやかとは静岡県内のみチェーン展開するハンバーグ屋さんなのである。
なにをハンバーグにそんなに熱くなってるの?と思うかもしれないが、さわやかのハンバーグは特別である。
まずあの焼き加減。げんこつハンバーグというまんまげんこつのようなまぁるい形をしたハンバーグを割ると出てくるのは真っ赤なレアなひき肉である。
この焼き加減は他では考えられないのだが、さわやかさんの徹底した衛生管理がなせる技であろう。
そして次に、ソース。これはオニオンソースとデミグラスソースから選べるのであるが、
初心者は迷わずオニオンソースを頼んで欲しい。玉ねぎの甘みと酸味、そしてハンバーグとよくマッチする塩加減が絶妙である。
上級者はソースをかけずに塩コショウでいただくというなんとも通な技もある。
次に店員さんのナイフさばきである。
テーブルにげんこつハンバーグを運ぶや否や、それを店員さんの大きめのマイナイフで半分に割って、鉄板に押し付けてくれる。
その瞬間、肉汁がテーブルに飛び散るため、僕ら観客は事前に鉄板に敷かれた紙ナプキン的なもので猫のポーズをとるのである。

しかし、よーく考えてみて欲しい。
そして、よーく見て欲しい。
店員さんのその腕を、手首を。

店員さんの何人かは手首にサポーター的な、包帯的な何かを巻いている。


…お分かりだろうか?
そう。その肉汁が飛び散って「火傷」をしてしまっている、あるいはハンバーグを鉄板に押し付ける作業で「手首がもっていかれてしまった」のである。

きっと、この仕事の時間だけではない。
家に帰ってからもマイナイフを研いではそれを鉄板に押し付ける練習をして、
肉汁の熱さに耐えられる強靭な皮膚を手に入れるべく日夜、熱湯に腕を浸して訓練をしているのであろう。

これらのことは容易に想像ができる。
さて、以上のことを前知識として頭に入れた上でここから読んで欲しい。



例えば一緒にご飯を食べに行くとしよう。

場所はどうしようか。


じゃあ100円の「回転寿司」行こう。
スシローでもくら寿司でもなんでもいい。

ってなると、みんな寿司食うよね?
まぁサイドメニュー最近はいろいろあるけど、寿司食って合間にサイドメニュー入れていくよね?
終始サイドメニューで一貫しないよね?
パフェだけ食って帰るとか止してね?


よしよし。それでいい。




じゃあ次は趣向を変えて、「高野フルーツパーラー」はどうでしょう?
なんかフルーツのバイキングとかあるらしいんだけど、
フルーツパーラーっていうくらいだからフルーツ食うよね?
バイキングでついてるカレーだけ食べて帰るとかしないよね?

うんうん。わかってるね。




じゃあ最後、
「さわやか」行ったらなに食う?

ここで、いままで勉強したことが理解できてる人は、
「げんこつハンバーグのオニオンソース」という正解を導くことができる。
あるいは通なやつはソース別とか、塩コショウでとか。






…しかし、奴らは違った。



先日、僕の友人Aとさらに友人Aと親しい友人B、Cの4人で車を出してさわやかに食べに行くことになった。

ちなみに僕と友人B、Cは直接の友達ではないことを明記しておこう。


静岡にはさわやかっていうとても美味しいハンバーグを出すお店があって、
そこのハンバーグを食べに行こう!ということでこの4人でご飯を食べに行くことになった。
道中はもちろんハンバーグの話題で持ちきりである。
どんなハンバーグなのかと聞かれる質問に丁寧に答える。
そしてそれがいかに美味しいか、そしてげんこつハンバーグにオニオンソースというチョイスがいかにベストであるかを力説する。

そんな中、無事にさわやかまで到着をする。


駐車場に入る時には店の外まで並ぶ列が見え、
車を降りてすぐに待機名簿に名前を記入。

店内で待機する余裕がないほどお客さんで溢れているため、外の灰皿の前で待機をする。

何度も開いたり閉めたりを繰り返す玄関扉からハンバーグを炭火で焼く匂いが度々溢れ出す。
高まるげんこつハンバーグへの期待。

今日は一体どんなハンバーグを出してくれようか。
正々堂々、一対一の戦いである。




そんなことを考えていると、30分なんてあっという間に経つ。
しばらくして若い女性の店員さんに名前が呼ばれ、席へ案内される。
さらに高まる期待。

店内のいたるところで、鍛錬をよく積んだであろう店員さんがマイナイフでげんこつハンバーグを切ってはジュージューと鉄板に押し付けている。

これだ。


我輩はメニューを見るまでもなく、じっとその時が来るのを待っていた。



(げんこつハンバーグのオニオンソース、ソースは別で…
げんこつハンバーグのオニオンソース、ソースは別で…
げんこつハンバーグのオニオンソース、ソースは別で…)
心の中で何度も復唱をする。


そして50回くらい復唱をした頃だろうか。

ありえない言葉が僕の耳をつんざいた。


「…僕は焼きカレーにしようかな。」
「えー、じゃあチーズハンバーグにしよーっと。」


…おい、まて、BとC。
今なんて言った…?


焼きカレー?
チーズハンバーグ??


嘘だろ?


さわやかに来てげんこつハンバーグを頼まない奴がいるのか?
しかも初回だぞ??



なんだこいつら、一周まわってめちゃくちゃ通なのか??


ここまでのレベルに来るとよくわからない。レベルが高すぎる。俺には手に負えない。


さわやかに来てげんこつハンバーグを頼まない奴がいるとは…。




しかし、BとCはその日がほぼ初対面。
突っ込んだことは言えるはずもなかった。



そこで、僕は冷静にこう思った。








「いや、別にええけど…」






なんか、モヤモヤする。
けど、決して相手に口に出しては言えない。
それが、
「いや、別にええけど…」という言葉であって、
「いや、別にいいけど…」っていう標準語だとだと、けどなに??って言いたくなるよね。


そんな、日常の些細なことだけど、
ふと「いや、別にええけど…」と思う瞬間がある。
そんな些細すぎて曲にもできない瞬間をこうしてブログにしたためているわけです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。




ps,そうだ、最後まで読んでくれたあなたにちょっとお知らせ。
そろそろバンド動かします。
周りのバンドがどんどんこの間にも売れていってる気がして、非常に歯痒い。
前とは全然違った形になると思うんだけど、それでも止めずにまた、ロックをロールします。
差し詰め「リロール」ってとこですかね。
今月中にはなにか良いお知らせが出来るといいなと。
もう少し。
待っててね。
その際には全力でお祝い、リツイート、コメント、ちょうだいな。
よろしく。


岡本