『友だちのうちはどこ?』

Where Is the Friend's House?

 

1987年 イラン [83分]
監督:アッバス・キアロスタミ

脚本:アッバス・キアロスタミ

撮影:ファルハッド・サバ

美術:レザ・ナミ

編集:アッバス・キアロスタミ

キャスト:ババク・アハマッド・プール/アハマッド・アハマッド・プール/ホダ・バフシュ・デファイ/イラン・オタリ 他

[解説]

友だちの大切なノートを間違えて持ち帰ってしまった少年が、ノートを返すため友だちの家を探し歩く姿を生き生きと活写し、アッバス・キアロスタミ監督の名を世界に知らしめたイラン映画。イラン北部にあるコケール村の小学校。モハマッドは宿題をノートではなく紙に書いてきたため先生からきつく叱られ、「今度同じことをしたら退学だ」と告げられる。しかし隣の席に座る親友アハマッドが、間違ってモハマッドのノートを自宅に持ち帰ってしまう。ノートがないとモハマッドが退学になると焦ったアハマッドは、ノートを返すため、遠い隣村に住む彼の家を探し回るが、なかなか見つけることができず……。特集企画「そしてキアロスタミはつづく」(2021年10月16日~、東京・ユーロスペースほか)にてデジタルリマスター版を上映。(eiga.com)(解説の人名ががヘン)

 

 映画冒頭90秒ほど、粗末な取手の水色のペンキ塗りのドアがアップで映る。隙間から子供たちの歓声が漏れてくる。

 なんか注視せざるを得ない気持ちになり先生がやってきてドラマが始まる。

 

 公開から36年、8歳のアハマッドは髭をたくわえた優しい大人になっているだろうか?

 イランの田舎の村の40年近く前はこんなだったんだろうなと、つい比べてしまいます。生徒たちは概ね素朴で、大人の言うことに従い大人は何でも用を言いつけます。

 

●登場人物

アハマッド♂:友達思いの優しい子

ネマツァデ♂:同級生

モルテザ♂:同級生

母♀:宿題/お使い/揺籠揺らせ

先生♂:三度で退学な

祖父♂:タバコ持って来い

ドア職人の老人♂:

 

 厳しい教師が毎日書き取りの課題を出していいます[決められた規則を守ることを学ぶため、次に書き取りがどんなに進歩したかを知るため]それは正当な攻め句で砕けそうな子供たち。

 宿題三度やってこなければ、退学だとか脅しつけますが、本気ではないでしょう。

 アハマッドの隣の席のネマツァデは、先生の脅しに泣きべそで、アハマッドは友達の「退学」を本気で心配してしまいます。

 それなのに家に帰って家の手伝いのいいつけの合間に宿題をやろうとするとネマツァデのノートまで持ち帰っていました。

 「えらいこっちゃ」アハマッドは狼狽るのに野暮用ばかり言い付けられ逆らえません。これがこの村の一般的な子供の扱い「教育」なのでしょう。

 ところでネマツァデの住まいは丘を越えた向こう側。今日中にノートを返さなければネマツァデは退学に…。

 このときのアハマッドの心配顔とオロオロっぷりがたまりません。

 

 行ったこともない住所も知らない友達のところへノートを返すと言っても、遊びに行こうと隙を狙っていると疑う口喧しい母親の目を盗んで、意を決して抜け出すアハマッドの責任感と冒険心は、たとえ何度もすれ違いになっても、夜中までかかって散々な目に遭っても、絶対にやらなければならないことだったのです。

 

 少年はひとつ成長したはずです。