『虚栄の果て』
El norte sobre el vacio
2022年 メキシコ [117分]
監督:アレハンドラ・マルケス・アベヤ
製作:アレハンドラ・マルケス・アベヤ
脚本:アレハンドラ・マルケス・アベヤ/ガブリエル・ナンシオ
撮影:クラウディア・ベセリル・ブロス
キャスト:ジェラルド・トレホナ/パロマ・ペトラ/ドロレス・エレディア 他
[あらまし]
ドン・レイナルドは年季の入ったハンター。自分の牧場と父親の遺産を失う恐れが生じた時、彼は家族、使用人、土地との関わりを大きく見直すことになる。Amazon Prime Videoで2022年10月28日から配信。
導入部:サファリの狩りの体でワンシチュエーションがあって、アフリカかと思わせますが、じつはメキシコw
これは、多分に寓話的、象徴的な示唆に富んだ映画と思って良いでしょう。
"狩りが得意"な主人公ドン・レイナルドと家族と牧場の近しい人々と、地元のならず者リカルド・グズマンとの葛藤を軸に、あんまり大スケールではない"小さなボス"のちんまりした虚栄心の行方を追います。
虚栄心は誰にでもあるから、彼を立場上認めている牧場の使用人や、近しい仲間達に囲まれ、過去の武勇伝を語るのは、よくある光景なのだろうと思います。牧場の記念日に集まった招待客や一族郎党の態度や反応からは、反目したり慇懃無礼な反応も多そうだし、決して味方ばかりではないし、口論や陰口なども聴こえる。
"突然ブッシュから姿を顕した大きなジャガーを撃ち、埋めた後にオレンジを植えた"などと語ってその植え込みの傍らでひと時を過ごします。暖炉のある居間にはいくつもの剥製の鹿が、壁から生えてはいても、それらはレイナルドの側近たちの手柄でも有りそうだ。本当のことは本人だけが知らないのかもしれないw
これらの関係性は皆が知るところなので、敵対するグスマンが脅しに現れ、オレンジの樹を燃やしてしまうと、いよいよ身の危険を感じます。
解りやすい寓話かなと思いました。狩りが得意なのはレイナルドではなく、いつも傍にいる雇い人のロサだったし、その事をはっきり意識したのはグズマンの仲間達が 復讐に乗り込んで撃ち合い、残弾が尽きて散る間際という、切ないエンドシーンです。