『ミッドナイト・ファミリー』
Midnight Family
2019年 アメリカ/メキシコ [81分]
監督:ルーク・ローレンツェン
製作:ケレン・クイン/ルーク・ローレンツェン/ダニエラ・アラトーレ/エレナ・フォルテス
撮影:ルーク・ローレンツェン
編集:ルーク・ローレンツェン
音楽:ロス・シャハトス
キャスト:ホアン・オチョア/フェル・オチョア/ホセ・オチョア/マヌエル・エルナンデス 他
[解説]
メキシコシティで私営救急隊をビジネスにする一家の姿をとらえたドキュメンタリー。メキシコシティには人口900万人に対して公共の救急車が45台未満しかなく、救急救命にあたる闇救急車の需要がある。そんな私営救急隊を稼業とするオチョア一家は、同業の救急救命士らと競い合って急患の搬送にあたっている。しかし、闇救急車の取り締まりや汚職警官からの賄賂の要求によって、徐々に金銭的にも追い詰められていく。救助を必要とする患者から日銭を得るという、倫理的には疑問視もされるオチョア一家の稼業をヒューマニズムにあふれる視点でとらえながら、メキシコの医療事情や行政機能の停滞、自己責任の複雑さといったさまざまな問題を浮き彫りにしていく。サンダンス映画祭で米国ドキュメンタリー特別審査員賞を受賞したほか、米アカデミー長編ドキュメンタリー賞のショートリストに選出された。(eiga.com)
これはそれぞれの国により制度も、ありかたも違うんだと思うけど、現在ただいまのメキシコでの救急医療活動を担うのが、公共機関では900万人口vs45台以下と圧倒的に対応が不充分なので"野良救急車"であっても辛うじて成立している、というよりゴリ押しで非合法な運営のコントロールが手付かずで、従ってオチョアファミリーの一日の糧も可能という世界。しかも実話のドキュメンタリーだから恐れ入る。
●登場人物
・ホアン・オチョア♂:17歳の少年
・フェル・オチョア♂:父
・ホセ・オチョア♂:下の子/小学生
・マヌエル・エルナンデス♂
多分我が国では、福祉タクシー以外の医療補佐活動は違法行為なんだろうけれど、それらの社会的保証(公的な健康保険制度)の遅れている国では、この映画にような例はいくらも有るらしいです。
とは言えいくら闇営業の救急車とは言え、責任上いい加減なことは出来ないし、保険制度との狭間で健康保険加入者に当たるかどうかも怪しい、社会的な悩みもあって、それが余すところ無く描かれ切り取られています。
小学生の下の子が救急車の物入れから顔を覗かせたり、忙しく働くホアンの、真摯な仕事振りは既にどうしても命を助けたいという、一種の使命感なのだと思います。