『風が吹くまま』

Le vent nous emportera

 

1999年 フランス/イラン [118分]
監督:アッバス・キアロスタミ

製作:アッバス・キアロスタミ/マラン・カルミッツ

原案:マハムード・アイェディン

脚本:アッバス・キアロスタミ

編集:アッバス・キアロスタミ

撮影:マームード・カラリ

音楽:ペイマン・ヤズダニアン

助監督:バフマン・ゴバディ

キャスト:ベーザード・ドーラニー/ファザード・ソラビ/バフマン・ゴバディ 他

 

[解説]

イランの巨匠アッバス・キアロスタミが、小さな村を取材しに来たテレビクルーと個性豊かな住民たちの交流を描き、1999年・第56回ベネチア国際映画祭で審査員グランプリを受賞した人間ドラマ。首都テヘランから、クルド系の小さな村を訪れたテレビクルーたち。彼らはこの村独自の風習である葬儀の様子を取材しに来たのだが、村を案内する少年ファザードには自分たちの目的を秘密にするよう話す。テレビクルーは危篤状態のファザードの祖母の様子をうかがいながら、数日間の予定で村に滞在する。しかし数週間が過ぎても老婆の死は訪れず、ディレクターはいら立ちを募らせていく。特集企画「そしてキアロスタミはつづく」(2021年10月16日~、東京・ユーロスペースほか)にてデジタルリマスター版を上映。(eiga.com)

 

 イランの牧歌的な風景が魅力の映画です。緩やかなカーブの山道を追っていると黄金色の一面麦畑。なんとも眼が休まる光景。映画とはこうやって素敵な風景で和ませ、そこで起きるあれこれに、観客の想像力を誘うものかなと思いました。

 

 この独特の葬儀の風習を持つ村はあまりに平和で、老婆の死を待つという鬼畜な企画を隠し持ったTVクルー(矢面に立つのはディレクターだけ)の心の動きも "変"ではあるけれど、屈託ない少年や村人との対話が結構印象的です。

●登場人物
ベーザード♂:シアダレの葬儀の取材に来たディレクター
ファザード♂:案内役を請け負った少年
 
 殺伐な題材なのに穏やかな風景、それも落ち着いた乾いたベージュの泥壁に、僅かにディレクターのシャツやジーンズのブルーが綺麗なバランスで存在します。このカラーセンスは参ってしまう。
 
 印象的なシーンはベランダを隔てた向こう側にいる毛糸を捌く妊婦と、カメラ前で髭をあたるディレクターの数分のカット。アップになる人物はこれが最大でしょうか。あとは全編、携帯のアンテナの立つ高みに移動しながら会話するほぼ一人芝居みたいな面白さ、絵的には最前の色の濃淡にシルエットなど「お?」っと眼が止まるカットもあります。
 
 ポスターヴィジュアルになっている麦畑を駆け抜けるタンデムのバイク(ヤマハの実用車/これも色が合っています)のシーンは
とっても美しいです。カラープランが素敵な映画と言っておきましょう。眼が満足しています。